第660話 魔女の家2
「じゃあ、緑茶で」
「私は紅茶をお願いします」
「私も緑茶でお願いします」
俺、クレハ、桜は、お言葉に甘え、リクエストを済ませる。
「はい。ちょっと待っててね。私はコーヒー」
と、いろはの魔女が向かった台所には──
──す、水道だ!
久しぶり、ミリアの家で見て以来だな。
「うん? あ、これ? 水道って言うの。湧水を引っ張って来てるのよ。あまり一般的では無いかもしれないわね。この家では〝水の結晶〟は使わないわ。ここの湧水は名水よ。色んな水を飲んだけど、肌から染みたわ。高い山から湧く水を超える物は無い。そんな水で作るお茶やコーヒーは格別、味わっていってね」
いろはの魔女は「♪」と、鼻唄を歌いながらお茶を淹れ始めた。
待つこと数分、緑茶と紅茶を運んできた、いろはの魔女は丸テーブルを囲み、皆が席に着くと「どうぞ♪」と、言った。
「ありがとう。いただきます」
「いただきます」
「すいません。私まで、いただきます」
俺、クレハ、桜は殆ど同じタイミングでお茶に口を付けると皆して「「「!!」」」と、目を丸くした。
「う、美味い……茶葉もだが、いやこれは水だ! 水の美味さが半端じゃねぇ!」
「わ、美味しい♪」
「こんなお茶初めて飲みました!」
フォルタニアには悪いが、あの茶を超えたぞ。
人生で一番に美味い茶を俺は今飲んでいる!
この世界の水ヤバいな!? 東京でコップ一杯1000円ぐらい取れるんじゃないの?
てか、ミリアの家もそうだが、この世界では水は〝水の結晶〟を使うから、わざわざ水道を使ってる場所は所謂水の当たりスポットっぽいぞ!
「気に入って貰えたようで満足よ。コーヒーも私は好きなのだけどね」
いろはの魔女は少しドヤ顔だ。まあ、この味ならドヤ顔されても文句は言えない。
「そういえば。あなた達は手紙を見て来たのよね?」
お茶を堪能してる俺たちにいろはの魔女は優しいトーンで話しかけて来る。
「ん、ああ、桜が拾って……って、茶まで出して貰って名乗ってなかったな。俺はユキマサで、隣のセミロングの子がクレハで、そのまた隣のロングの子が桜だ」
あ、やべ。指名手配犯なのに普通に名乗っちまったよ、ま、こんな山奥どころか山脈の山頂に手配書が出回ってるワケないし、多分大丈夫か。お茶うまー。
よろしくお願いします。と、クレハと桜が頭をペコリとお行儀よく下げた瞬間、いろはの魔女は俺に目を向けこう言った。
「あら、貴方もしかして稗月倖真──?」
俺がお茶を吹き出しそうになったのは言うまでもない。
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