第659話 魔女の家
やっぱファンタジーの魔女には箒と杖が無いとな!
ザ・ファンタジーに感動する俺の頬にそっと手を当てながら〝いろはの魔女〟が嬉々としてこう言った。
「とっても綺麗な目。あなた素敵な人ね♪」
「……ッ……あんたも物好きだな……」
真っ直ぐな目でそんなことを言われた俺は少し照れ臭くなって言葉を詰まらせる。
「茶」
「?」
「お茶、ご馳走してくれるんだろ。早く行こうぜ」
俺がそう言うと「ふふ♪」と、いろはの魔女は笑い、こちらへどうぞと結界の家に案内される。
*
魔女の家は煉瓦で作られた煙突付きの一人暮らしとしては少し広い、でも素敵な家だった。他に目立つことと言えば家の真横に一本だけ満開の桜の木が生えていた。クレハの話だと春夏秋冬は場所によって様々らしいからな。一年中雪の降る冬の街〝スノーワイト〟が記憶に新しい。
「お邪魔します。イイ家だな。そーいや、黒猫は飼ってないのか?」
「黒猫? 猫は飼って無いけど。動物はすぐ死んじゃうから」
黒猫は飼ってないのかー。残念残念。
でも、理由がすぐ死んじゃうからって言うのは寂しいな。この世界の猫はどうか知らないが猫の寿命は12~18年生きる。飼い猫でな。
元いた世界の人間ならば、それで十分とは言えないかもしれないが、自分が100歳まで生きたとして長生きの猫を飼えば約5分の1の時間は一緒に入れる。
でも、この魔女は18年なんてあって無いような短い時間なのだろう。いやまあこの魔女の年齢は正確には知らないから確かか分からないけど。言動から推測するとそんな感じになる。
〝ステータス画面〟を見れば分かるけど、女性の年齢を覗き見るのは流石にマナー違反だと俺でも分かる。
「椅子が足りないわね。ちょっと待って、今作るから」
(ん? 作る?)
いろはの魔女は俺の疑問気な顔を横に家の外のにあった庭みたいな林に杖を向け、くるっと指揮でも取るかのように綺麗に杖を振るう。
すると漫画の世界のように宙に浮いた木が一瞬で椅子の形になり、俺たちの前に3つの椅子が置かれた。
うおー! 魔法だぁ! バトル系もイイが、こういう日常系の魔法もイイよな! グッジョブ、いろは!
「ユキマサさん、どうしたんですか?」
「あ、桜ちゃん、たまにあるんだよ。ユキマサ君て何かこう人知れず感激してる時が、そっと見守っていてあげて」
そんな俺とクレハと桜の様子を楽し気に見るいろはの魔女はクスりと笑うとお茶の注文を聞いてくる。
「紅茶? 緑茶? それともコーヒーがいい?」
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