第656話 箒の行方
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っと、ここで事件が起きた。
〝天空都市ラタトイユ〟を出ようとした時に、都市の兵士に俺たちは止められた。
俺の存在がバレたかとヒヤリとしたが、別に俺の潜伏がバレたとかでは無かった。
「え? ダメなのか、箒で〝フラリア山脈〟登っちゃ?」
兵士の話だと箒で〝フラリア山脈〟に登るのは不可能だと言う。
「ダメと言いますか、一部の例外を除いて、この箒で飛べる範囲は〝天空都市ラタトイユ〟とその僅か周辺のみとなりますので〝フラリア山脈〟の頂上までは行けませんよ。というか、あの場所へ何の用で? 頂上は岩場しかありませんよ?」
え、マジかよ。てか、ポーポマンモスはギリギリ範囲だったってことか? ドラえまんのタケコブターのが有能なのか? いやあれよく考えると首もげるからな。のび男君はケツに付けて飛んだりもしてたが、あー、うん、ごめん、あれはダサい。
「野暮用でな。何か他に方法は無いのか?」
「特別な〝魔道具〟を装着すれば使えるようになりますが、値段が高い上に在庫があと一つしかありません」
「それいくらだ?」
「え、あ、金貨18枚です。ほ、本当ですよ。ぼったくったりしてません。ギルドに確認してもらっても構いません」
「いいよ。疑ってない。それをくれ」
〝アイテムストレージ〟から金貨18枚を出し、兵士に渡すと兵士はやけに驚いていた。
日本円で約180万。新車を買ったと思えば安いか。
「あ、は、はい。直ぐに用意します!」
あたふたと何処かへ、その〝魔道具〟を取りに行った兵士を俺たちはのんびりと待つ。
「ユキマサ君、その〝魔道具〟どうするの?」
「桜の箒に付ける。クレハの分も買いたかったが、悪いな我慢してくれ。売り切れらしい」
「私は大丈夫。それに桜ちゃんに付けるの賛成!」
「ちょ、ちょっと待ってください。私にですか!?」
頷くクレハと慌てる桜。
「代金は経費で出すから心配すんな」
「いや、それもですけど。私にそこまで……悪いです」
本当に申し訳なさそうにする桜。
「これは必要経費だ。異論は認めん」
「すいません。お言葉に甘えます。ありがとうございます」
ペコリと桜は頭を下げた。俺はどういたしまして。と、返事をしながら兵士が戻るのを待った。
15分程度で兵士が高そうな箱を右手に持って戻ってくる。
「遅れてすいません。こちらになります。箒の持ち手にお付けください」
赤いルビーの指輪型のそれはスッポリと箒の持ち手にハマりそうな大きさだ。
桜の箒にそれを付け「これでいいのか?」と、尋ねると「大丈夫です。三日以内なら返品も可能ですので、不備がありましたらお手数ですが、この場所かギルドまでお越しください」と、言われた。
返品可なのね。それなら多少は安全だな。
そして何はともあれ、この異世界チックな、空に浮かぶ都市とはしばしお別れだ。
楽しかったぜ。ありがとな!!
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