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第656話 箒の行方



 *


 っと、ここで事件が起きた。


 〝天空都市ラタトイユ〟を出ようとした時に、都市の兵士に俺たちは止められた。

 俺の存在がバレたかとヒヤリとしたが、別に俺の潜伏がバレたとかでは無かった。


「え? ダメなのか、箒で〝フラリア山脈〟登っちゃ?」


 兵士の話だと箒で〝フラリア山脈〟に登るのは()()()だと言う。


「ダメと言いますか、一部の例外を除いて、この箒で飛べる範囲は〝天空都市ラタトイユ〟とその僅か周辺のみとなりますので〝フラリア山脈〟の頂上までは行けませんよ。というか、あの場所へ何の用で? 頂上は岩場しかありませんよ?」


 え、マジかよ。てか、ポーポマンモスはギリギリ範囲だったってことか? ドラえまんのタケコブターのが有能なのか? いやあれよく考えると首もげるからな。のび男君はケツに付けて飛んだりもしてたが、あー、うん、ごめん、あれはダサい。


「野暮用でな。何か他に方法は無いのか?」

「特別な〝魔道具(マジックアイテム)〟を装着すれば使えるようになりますが、値段が高い上に在庫があと一つしかありません」

「それいくらだ?」

「え、あ、金貨18枚です。ほ、本当ですよ。ぼったくったりしてません。ギルドに確認してもらっても構いません」

「いいよ。疑ってない。それをくれ」


 〝アイテムストレージ〟から金貨18枚を出し、兵士に渡すと兵士はやけに驚いていた。

 日本円で約180万。新車を買ったと思えば安いか。


「あ、は、はい。直ぐに用意します!」


 あたふたと何処かへ、その〝魔道具(マジックアイテム)〟を取りに行った兵士を俺たちはのんびりと待つ。


「ユキマサ君、その〝魔道具(マジックアイテム)〟どうするの?」

「桜の箒に付ける。クレハの分も買いたかったが、悪いな我慢してくれ。売り切れらしい」

「私は大丈夫。それに桜ちゃんに付けるの賛成!」

「ちょ、ちょっと待ってください。私にですか!?」


 頷くクレハと慌てる桜。


「代金は経費で出すから心配すんな」

「いや、それもですけど。私にそこまで……悪いです」


 本当に申し訳なさそうにする桜。


「これは必要経費だ。異論は認めん」

「すいません。お言葉に甘えます。ありがとうございます」


 ペコリと桜は頭を下げた。俺はどういたしまして。と、返事をしながら兵士が戻るのを待った。


 15分程度で兵士が高そうな箱を右手に持って戻ってくる。


「遅れてすいません。こちらになります。箒の持ち手にお付けください」


 赤いルビーの指輪型のそれはスッポリと箒の持ち手にハマりそうな大きさだ。

 桜の箒にそれを付け「これでいいのか?」と、尋ねると「大丈夫です。三日以内なら返品も可能ですので、不備がありましたらお手数ですが、この場所かギルドまでお越しください」と、言われた。

 返品可なのね。それなら多少は安全だな。


 そして何はともあれ、この異世界チックな、空に浮かぶ都市とはしばしお別れだ。

 楽しかったぜ。ありがとな!!



 ★★★★★★作者からのお願い★★★★★★


 作品を読んで下さり本当にありがとうございます!


・面白い

・続きが気になる

・異世界が好きだ


 などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!

 (また、既に評価、ブックマーク、感想、いいねをいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)


 ★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!


 長々と失礼しました!

 何卒よろしくお願いします!

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