第653話 ラタトイユの朝2
*
「ふわぁ♪ 本当に私から選んでイイんですか!?」
テーブルに並ぶ、焼きたての何とも食欲をそそるイイ香りのするパンを見て、パン好きの桜は綺麗な翠玉色の瞳をキラキラさせる。
「おう、好きなの取りな。遠慮は無しだ」
本当にパンが大好きらしい桜は、それはもう嬉しそうに並べられたパンを選んでいる。
クロワッサン、様々なサンドイッチ、焼きそばパン、BLTバケット、ブリオッシュ、あんばたコッペパン、クリームパン、ベーグル等を一通り見たあと、桜は卵サンドとBLTバケットを手に取り、どっちにしようかな。みたいに、う~ん、う~ん、と可愛く首を傾げている。
「両方食べたらどうだ? 量はそんなに無いだろう」
俺がそう言うと綺麗な瞳をパチクリさせ「いいんですか!」と、嬉しそうに顔を綻ばす。
「おう、もし食べきれなくても、俺が食うから安心しな」
「はい! いただきます!」
俺は焼きそばパンとカツのサンドイッチをクレハはクロワッサンとあんばたコッペパン。黒芒は酒のつまみとか言いながらブリオッシュを食べていた。酒のつまみになるかは知らないけど、まあ本人がイイならイイんじゃないだろうか。
それにしても俺は和服に焼きそばパンて死ぬほど似合わないな。タキシードに長靴ぐらいナンセンスだ。
*
朝食を済ませ、宿をチェックアウトすると、また箒に乗り街に出る。この竹箒に乗って飛ぶって言う魔女みたいな生活にも数日ながら何か慣れてきたな。
相変わらず俺は和服で竹箒にあぐらで空を飛ぶという独特なスタイルでいるけど、誰も突っ込まないのでよしとしよう。
ちなみに黒芒は「妾は寝る。日が落ちたら起こしてくりゃれ」と、言って宿屋でパン食べた後にすぐ俺の影へと潜っていった。
「ユキマサ君、今日はどうするの?」
宿を出たはイイが、宿の外でたむろしてる状態の俺たちの中から、率先として口を開いたのはクレハだ。
「ああこの街からは出ようと思う。桜のお陰で〝ギルド〟での依頼もこっそりと受けられるようになったしな。次の街へ向かう。異論、反論はあるか? あるなら受け付けるが」
「私は大丈夫だよ。桜ちゃんは?」
「はい、私も大丈夫です。何処でも付いて行きます」
パンを『♪』と、ご機嫌で二つとも綺麗に食べた桜のテンションは少し高い。まあ、米派の俺ですら絶品だと思ったからな。パン派の桜の感動はそれ以上だったと考えて間違いないだろう。
「よし、じゃあ決まりだ。って、また山越えか。あ、でも、この箒があるから楽そうだな──」
そして俺たちは次の街を目指す。
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