第649話 ノアとチャッチャラー
街を歩いていると、ノアは見知ったチャラ男を見つけた。
「っくぅ、アリシアさんへの手土産はどれがいっスかね。指輪とは別のアクセサリーは一緒に選びたいし、ここはやっぱり消え物、すなわち食べ物っスね!」
独り言の声がデカく道行く人は怪訝な表情で彼を見るが、中には今は元だが〝王国魔導士団〟の〝鵬剣〟チャッチャラー・グットクールだと気づく者もいるらしく一部からは「おお、あれが!」「チャッチャラー様だ」「チャラいが優しそうな方だな」と声が上がる。
そんな様子を見てノアは微笑ましそうにチャッチャラーに近より、トントンと肩を叩き、
「お土産なら、この先のケーキ屋さんが美味しいよ。苺のショートケーキがお勧めだよ。1個で銀貨1枚するけど値段の価値はあるよ。チャッチャラー・グットクールさん。お土産のお相手は彼女さんかな?」
と、声をかけた。
自問自答を繰り返し、自分の世界に没頭していたこともあるが、この距離で話しかけられるまで、腐っても〝元王国魔導士団〟の自分が肩を叩かれるまで背後の少女の存在に気づかなかったことにチャッチャラーは素で驚いた。
「な、何者っスか……?」
「ああ、そんなに警戒しないで。そうだなぁ。なら、貴方の信頼を得られそうな言葉で名乗ろうか。こんにちは。良い天気だね。私はユキマサ君の味方だよ」
『……』と、少しの静寂のあと、ポカーンとしたチャラ男らしからぬチャラ男が驚きながら返事を返す。
「ちょ……マジすか、俺もっス!」
「ふふ、警戒心が解けたね。ユキマサ君様々だ。私、ユキマサ君が大好きなんだ。貴方もそうでしょ?」
クスクスと笑いながら、でも真剣に話す白娘姿のノアの言葉にチャッチャラーはまたもやチャラ男らしからぬ真面目な声音で話をした。
「一言で言うと……憧れ……っスかね。年は俺よりも下な筈なのにユキマっさんの背中は俺よりも何倍も大きく見えやした。もしかしたら自分が助けられたからそう見えただけかも知れないっスけど、子供の頃に俺の憧れた、強さや優しさを持った。そんな素敵な方でした。あ、勿論、俺もユキマっさん、大好きっスよ!」
最後はやはりチャラ男らしからぬ花の咲くような満面の笑顔で笑うチャッチャラーの様子にノアは満足そうに頷く。
「うんうん、貴方とは気が合いそうだね♪」
「っと、らしくないっスよね。俺はチャラ男として生きていくと決めたのに……つか、嬢さん、何者っスか? こう見えて俺は警戒心は高い方なんで殺気は無かったっスけど簡単に背後を取られるワケ無いんスけどね? いやホントにビビりまくりんぐっスわ……」
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