第646話 ノアとシアナ
ノアとシアナは〝中央連合王国アルカディア〟にある〝アーストライト大聖堂〟に移動する。
街中を竜車での移動中は護衛の数が半端無かったが〝アーストライト大聖堂〟に着くとノアが「二人っきりにしてもらえるかな」と、スキル〝言霊〟で全護衛を回れ右させ、まあ簡単に言うと追い払った。
〝アーストライト大聖堂〟の中に入ると修道女や修道士たちが深々と頭を下げる中「お客さん私の部屋に案内するけど誰も入ってこないでね」と、言いながらシアナをこの大聖堂の自室にノアは案内する。
〝大都市エルクステン〟のノアの部屋と同じく、そこそこの広さの白と黒のモノクロな部屋である。
「さ、こっち、あまり物とか無い所だけど、くつろいでね。あ、紅茶でいいかな?」
「ココアがいいわ。ある?」
間を開けずシアナが返事を返す。
「ふふ、あるよ。甘めに作る?」
「お願いするわ」
ノアも「私はミルクティーにしようかな。久しぶりだな」と、呟きながら「♪」と、飲み物を作る。
黒いテーブルを挟み、ノアはシアナの向かいの椅子に座る。
「いただくわ。好きなのよココア」
ポツリと言葉を溢し、シアナは淹れたての熱いココアをふーふーしてからゆっくりと口に運ぶ。
「それで、私を部屋に招いてまでしたい話は何かしら? 言っておくけど稗月倖真の指名手配は撤回できないわよ。今はもう私の一存じゃないし」
「先に言われちゃったか。まあ、今はそれでいいよ。未来は神様でさえ少ししか分からないしね。私も指名手配の撤回の撤回はしない。シアナさんとは話が合わなそうだね。うーん、残念……」
ノアもふーふーしてミルクティーを飲みながら返事を返す。
するとしばしの沈黙の後、悪いことを見つかった子供のような小さな声が二人だけの静かな部屋に響いた。
「……今から言う、これは独り言よ。別に貴女に言ってるワケじゃないからね」
「そっか、なら私は聞き耳を立ててみようかな」
と言いながら、真っ直ぐにシアナをノアは綺麗な青玉色の瞳で見つめる。
「…………稗月倖真には感謝してるわ。あの男が結婚式を壊しに来なかったら〝シルフディート〟は全滅してたでしょうからね。ウチの戦力とエルルカだけじゃ〝魔王信仰〟のNo.2〝屍〟シリュウ・ブラックと〝原始の黒〟ウルスラは撃破できなかった。特にウルスラはあの男が居なければ再封印なんて夢のまた夢……」
やはり心のどこかでは罰が悪いのかシアナはノアと目を一切合わせず、代わりと言ってはなんだが、ココアに目を落としながら黙々と独り言を呟いていく。
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