第644話 アルカディアの会合19
「いやはや、これが噂の大聖女様の〝言霊〟ですか。二秒も動きを封じられてはその気になれば何度命を取られることか……この老体には少し堪えますぞ」
生物を殺せないノアは例外として、二秒あれば、六魔導士をはじめとした、ジャンと同等かそれ以上の者なら、命を狩ることは容易だろう。
「それはそうと、どうぞ。アリスちゃん。言いたいことがあるならハッキリ言っていいよ」
今の一悶着で少し落ち着きを取り戻した。アリスが暴れるわけでも無くゆっくりと口を開いた。
「……達に……お前達にあいつのような事ができるのですか……?
誰とも知らぬ迷子の私をギルドまで送り届けようとしてくれ、食事を奢り、あまつさえ最後は〝魔王信仰〟の賊共から私を守ってくれた。あいつの行動と同じことができるのですか?
お前達は知っているのですか? あいつが馬鹿なまでに魔法が好きで、真っ直ぐで、優しいことに……」
ハッキリとしたが、小さな声だった。
でも、その小ささが逆に力強さを物語っていた。
「大聖女、私は思ったことを言っていいのですよね? 責任、とても迷惑をかけてしまうのですよ?」
チラりとアリスはノアを見た。
アリスと目が合ったノアは笑ってこう告げた。
「うん。いいよ。ぶちかましちゃえ」
ノアの言葉を聞くとアリスはスーっと、息を吸いこう言い放った。
「私の友人を、恩人を馬鹿にするんじゃないのです!! この能無しスットコドッコイ共ッ!!」
会議場に響き渡るアリスの声。王族、貴族、六魔導士、三王は、幼き少女の咆哮にしばし時が止まった。
「ひ、引っ捕らえろっ!! いくら子供とは言え、これ以上は看過はできん!!」
ぞろぞろと王宮兵士達がアリスに向かい歩を進める……が、そんな兵士達に落ち着いた声が掛けられた。
「責任は私が取ると言った筈だよ。今のアリスちゃんの言葉は私の言葉。兵士の皆さんは下がってじっとしてて貰えるかな」
ノアの〝言霊〟いくらそこらの国の兵士より鍛え抜かれてる〝アルカディア〟の王宮兵士と言えど、ノアの言葉には逆らえなかった。体が動かない。兵士達はいざ〝言霊〟を体験すると皆一同に目を見開き大きく冷や汗を掻いた。
「あまり権力を使うのは趣味じゃないけど、王族や貴族、六魔導士よりは私は立場は上、発言力は三王と同等。聖教会は〝アルカディア〟に並ぶ人類の最高組織。私の発言に意見できるのは〝三王〟か〝最高貴族〟ぐらいなんだよね。
で、それで私の代役として発言してくれたアリスちゃんの言葉に意見があるなら私が話を聞くよ?」
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