第642話 アルカディアの会合17
「星の核を半分割って、星が今までと同じに無事でいられると思うのですか? 何よりも魔王がそれで倒れる保証は無いのです。それにこの星が無くなっても魔王や魔族は宇宙空間でも生きていけるのですからね。あのバカ共は呼吸を必要としないのですから」
ムスッとしながら答えたのはアリスだ。
最年少ながら頭が回る。アリスは賢いのだ。
「うぐっ……」
年下のしかも齢一桁の幼女に論破された貴族はぐうの音も出なかった。
「おっと、話が逸れたね。アリスちゃんの言う通りだよ。この星が無くなれば魔王がどうするかは考えたことは無かったけど案外異世界にでも行ったりしてね」
「大聖女殿、異世界とは? ボケてる場合ではありませんぞ」
話に割って入るヒルグラムにノアは小さく「ま、ボケてるわけじゃないけどね」と、返す。
「そろそろ話を纏めようか。ユキマサ君の指名手配に継続か撤廃か、シアナさん、その前に一度だけ聞くね? ──後悔しない?」
「それはどういう意味かしら?」
「〝聖教会〟は〝女神アルテナ〟の導きに誓い、稗月倖真君を支持する。だから場合によっては人類が二つに別れる可能性があるかもしれないってことだよ」
ノアの発言に場がざわつく。それもそうだ〝女神アルテナ〟の名を出し誓ってまで指名手配犯を擁護すると言っているのだ。前代未聞である。
「ウチの国もユキマサを支持するのです!」
立ち上がったのはアリスだ。その瞳の奥には年不相応の力強い信念が見える。
「私の国もです! ユキマサさんの指名手配の撤廃を訴えます! お父様の許可も頂いています!」
続いて立ち上がるのはレヴィニアだ。
「〝アーデルハイト王国〟に〝イリス皇国〟……本気? 冗談の類いじゃ許されないわよ?」
シアナの鋭い目が二人を捉えるが、アリスもレヴィニアも一歩も引かなかった。
「本気なのです」
「本気です」
するとシアナは〝三王〟のジークパングとヴァンドールに視線を向ける。
「あなた達はどうするの? 私は稗月倖真の指名手配を続行及び斡旋をするわ。あと一人、どちらかが私に賛同してくれれば〝三王〟の過半数が手に入る。ヴァンドール王、あなたは?」
今までの話を唯一嬉々として聞いていたヴァンドールにシアナが問いかける。
「面白い話じゃないか。あの〝聖教会〟が主神である〝女神アルテナ〟の名を出してまで話をあげてるなんて、心底興味が湧くな、件の稗月倖真には、フフ」
この場で唯一、好戦的に笑うヴァンドールを見てシアナが頭を抱えたのは言うまでもない。
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