第634話 アルカディアの会合9
「そ、それは……」
声音は優しいがノアの鋭い言葉にヒマツリが言葉を詰まらせる。恐らくどこからか圧力が掛かっているのだろうとノアは直感で感じた。
「言えないんだね。貴方にも家族がいる……か知らないけど、生きるための生活もある。どこからかは知らないけど、自分より立場の上の権力者に逆らえない気持ちは分からないでもないよ。でも、それは私はそれを共犯と受け取るけどいいかな? 自分可愛さに誰かを貶める人は私は嫌いかな。
まあ、上昇酌量の余地はあるとは思うけどね。でも、この大切な場で虚偽の話しをしたら、逮捕されるかもね。私は逃がさないよ。私の友達の冤罪が掛かってるんだもの。それは厳しいチェックにもなる」
強烈な寒気と共にヒマツリは声を失う。ダラダラと汗を掻きながらヒマツリは「えーと……」だとか「それは……」とか、必死に何らかの言い訳を探してる。
「待ちなされ! 〝最高貴族の暗殺未遂〟〝国家襲撃〟〝世界樹の破壊〟は紛れもない真実だろう!」
貴族から声が上がる。
「仮に真実だとして。なら、理由はどうなるのかな? 例えば死刑。それは法律が認めた殺人だよね。冤罪もあるけど、死刑の多くは罪の無い人を殺した殺人犯。分かりやすいのは心臓集めの魔王信仰とかかな。そうだね、例えば、裁判で裁かれた判決の死刑を執行した人は殺人犯になる? ならないよね? それじゃ鼬ごっこだもん。理由次第では罪は罪で無くなる。私はそう考えてるよ。あれ、分かりづらいかな?
今回の〝国家襲撃〟は政略結婚を強いられたお姫様を守る為だって聞いてるよ。政略結婚は珍しい話しってワケじゃないけど、今回は政略結婚の理由に私は納得いかないかな。
幼い頃に言わば育児を放棄し、尚且つ国を追放までしたフォルタニアさんを今さら政略結婚させるから連れ戻す何て私は虫のイイ話しだと思うな。しかも〝最高貴族〟との繋がりを深める。たかがそれだけの為に。
ねぇ、皆さん、大国を敵に回してまでも、望まぬ政略結婚からお姫様を救い出す、そんなお伽噺の勇者様のような物語の方がずっと素敵だと思わない?
それと〝最高貴族の暗殺未遂〟は私の報告に入ってないな。リアルタイムで状況はチクイチ聞いてたけど、それは完全な冤罪じゃない? 冤罪の烙印を押し付けたとしたら、それこそ私からみれば罪、いや大罪になるよ──?」
透き通った、それでいて力強い声でノアが告げる。権力も実力も持ち合わせる、言ってしまえば17歳とは思えない年不相応なノアの迫力に一同は息を呑んだ。
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