第633話 アルカディアの会合8
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「つ、続いて、最後の議題。例の男、稗月倖真の件について──」
ピクリと、その場にいた数人の者たちの空気が一気に変わる。他ならぬ〝聖教会〟の〝大聖女〟ノアもその一人だ。
「〝最高貴族の暗殺未遂〟に〝シルフディートの国家襲撃〟果てには悠久の時を人類と共に過ごしてきた世界の宝〝世界樹の破壊〟を行った大罪人。初期手配としては異例の金貨1万枚の賞金が懸けられています。金貨1万枚以上の手配犯などそうはいませんからね。各国からも沢山の意見が寄せられています」
司会の男、ヒマツリが淡々と手配内容の解説をして行く。
「不思議なことに、これまでの経歴、出身、家族構成まで何一つとして全く分かっていません。これ程の男が今まで何をしていたか本当に謎です。ちなみにですが、姓の稗月という名前はかつて〝スイセンの国〟に居りましたが、最後に確認された者は70年以上も前のこと。その後の出生は確認できず、今回の件とは偶然の一致と判断しております。
最初に記録として観測されたのは、先の対ガリアペストの〝魔王戦争〟の少し前〝大都市エルクステン〟の〝ギルド騎士〟フィオレ・フローリアが〝ステータス画面〟の提示と共に確認しています。
唐突な出現故に一部では新たなる〝幻霊種〟の発生かと言われていましたが〝ステータス画面〟では〝人間〟と確証が得られています。付け加えますが、極稀に種族が変わる者が居りますが〝幻霊種〟が〝人間〟に変わった前例はありません。
前例のある種族変異の有名な話しだと〝正義〟が、それでもお伽噺のレベルの話しですが有名ですね。ああ、今の時代にも居ましたね。〝大都市エルクステン〟のギルドマスター〝英雄ロキ〟が記憶に新しい」
司会の男、ヒマツリが説明をし終えると、辺りがざわつく。そんな中、ごほんと咳払いをし口を開いたのは〝三王〟のジークパング・ネモゴールドであった。
「〝大聖女〟殿、それとシラセ、パンプキック、何か申し立てはあるかの? 私の記憶だと、指名手配前にそなたらから稗月倖真を〝王国魔導士団〟へ推薦がされていたハズじゃが?」
あくまでも質問という形でジークパングが問いかけた。声音は優しい。
だが、ノアは鋭い声で返事を返した。
「うん、大有りかな。今の話しだと、まるでユキマサ君が悪人のような言い方になってますよ?
私の記憶だとね。凄く重要な部分が抜け落ち過ぎてるんだ。ねぇ、ヒマツリさん、ユキマサ君の、彼の話は本当の本当にそれだけなのかな──?」
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