第632話 アルカディアの会合7
「だが、ジークパング王。戦力を集めるにも現存戦力が今は足りません。特に〝剣斎〟の抜けた穴を、これからの〝王国魔導士団〟はどうするので?」
〝中央連合王国アルカディア〟に住む、王族の一人から強めの声が上がる。自分の身を置く場所が魔王軍に狙われる可能性が最も高いのだ。必死になるのも致し方ない。
「エルルカが抜けたのは私も誤算じゃった。ヴァンドール殿、詳しい話しは貴殿が聞いておると耳にしておりますが?」
ジークパングがヴァンドールに問いかける。
対するヴァンドールはあっけらかんに答えた。
「はて、どうじゃったかのう? ああ、思い出した。エルルカは件の稗月倖真の指名手配の撤廃と〝最高貴族〟の裏を罪を根こそぎ洗えとの打診だった。奴等は少し面倒での、よい返事は出来なかったが。でも、まああやつの言いたいことには妾も一理はあった」
「ヴァンドール王、問題発言ですぞ。国を襲撃した大罪人・稗月倖真の肩を持つような発言は……」
「別に肩を持ったつもりはない。妾は思った事実を口にしただけじゃ。もしそう聞こえたのならそこに真実が隠れてるのかもしれんのう?」
鋭い牙を見せて不敵に笑うヴァンドールと呑気な顔で話を聞くパンプキックの二人は頭一つ抜けてこの場では気が抜けていた。相応の権力と実力、そして年齢故の態度だが、この場の半数の者はヴァンドールとパンプキックのマイペースな態度には慣れてるらしく〝またか……〟とばかりに無言で様子を見守っている。
「……〝王国魔導士団〟は現状の五名で続けるつもりじゃった。新たに加入できる者はそうはいない。じゃがエルルカの抜けた穴はでかい。差し当たって、今〝幻影〟に〝時空鳩〟でスカウトをかけておる。今は賞金稼ぎの風来坊だが、貴族の家柄で、実力も確か、素行も問題無し。推薦者は私とヒルグラムとパンプキック。後は向こうが承諾してくれればよいが……いかんせん気まぐれな性格じゃからの。己の弱くない貴族という立場を捨て賞金稼ぎに身を落としたのも政略結婚が嫌だからという理由だと言っておったしの」
「あら、ジークパング王、あなた〝幻影〟と面識があるの? 随分と詳しいようだけど?」
シアナが隣に座るジークパングに問いかける。
「いや、面識と言った程では無い。昔、一度会っただけじゃの。仲が良いとかそういうワケでは無い」
そう。と、だけシアナは軽く返事をし、議題に戻る。この後、小一時間、ノアが今話せる限りの話をすることになったが、一同は神妙な面持ちで話を聞いていた。
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