第628話 アルカディアの会合3
「遅れて申し訳ありません。道中、魔獣に村が襲われていたので」
「ほう、ボランティアかね?」
「いえ、代金はきっちり頂きました。村人全員の財産の一割、村が壊滅してたかも知れません。そう考えれば安い物でしょう」
席に着きながらチェリッシュは言う。
その話を聞いた貴族が徐に問いかけた。
「その村は〝バベイツ村〟では無いか? あの村は人口も少なく年寄りと幼い子供ばかり。村の財産の一割じゃ魔獣討伐には割りが合わないのではないか?」
「一割は一割です。あの村は全財産の一割で私達の力を借りた。お金の価値は平等ではない。彼らの金貨一枚はこの国の星金貨一枚に匹敵する重みを持ちます」
「ふん、後悔が無いなら別に私には関係無いがな」
それを最後にチェリッシュは貴族の男との会話を終えた。
「それでは時間ですので。会議を始めさせて貰います。残念ながら不参加の方々もいるようですが、致し方ありません」
司会のこの場に相応しい小綺麗な格好の中年の男が場を進行させる。
「〝三王〟の御三名様をはじめ、各国の王族、貴族の方々、並びに〝聖教会〟に〝王国魔導士団〟と、冒険者からは〝スマイル〟──」
「ヒマツリ、紹介はいいのです。毎回やるのですか? 時間の無駄なのです。早く議題に入るのです」
口を挟んだのはアリスだ。端から見てもイライラぷんすことしてる様子がよく分かる。
〝三王〟──
人間代表。ジークパング・ネモゴールド。
エルフ代表。シアナ・シルフディート。
亜人代表。ヴァンドール・ブラッディナイト。
人類を種族別に大きく分けて三分割した。人間、エルフ、亜人。その各種族の代表の王の中の王の三名が〝三王〟と呼ばれている。
「シアナ女王よ。今回も〝ユグドラシル〟は不参加のようじゃが、本当に声をかけてくださったのかの?」
中央の三つの席の真ん中に座る。少しばかり髪の量が寂しい白髪の老人が隣に座るシアナに話しかける。
他でもない、この老人こそが〝三王〟の一人にして人間代表。ジークパング・ネモゴールドだ。
「ええ、勿論。時空鳩で招待状を出したけど。不参加と即返事が来たわ」
「シアナ。主の国はあまりイイ噂は聞かないぞ。今回の稗月倖真の初期手配金貨一万枚の異例の指名手配も〝シルフディート〟からの指示だろう。いや、エルフの最高貴族が裏で糸を引いているか。あのゴミ共め。いつでも妾が始末してもよいのだぞ。まあ、遠くない未来に権力の時代は終わると妾はそう考えている」
「ヴァ、ヴァンドール陛下、少し口が過ぎるのでは」
慌てて司会のヒマツリが冷や汗を流しながらストップをかける。
「〝三王〟と〝最高貴族は〟権力としてはほぼ同等。妾からみれば500年も生きていない若造に何も臆することなんぞ無い。兵は要らぬ、最高貴族の一人や二人、妾一人で十分じゃ。無論〝王国魔導士団〟が動いてもの? 〝アルカディア〟から出れば〝王国魔導士団〟全員では追ってこれん。最高でも二人の相手で済む」
不敵に笑うヴァンドールに一同は息を飲んだ。
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