第627話 アルカディアの会合2
「拙者もシラセ殿の意見に同じでござる」
「なーんだ、ヒルグラムも? まあ、じゃあ少しは気合いを入れようかな」
とは言う物のパンプキックはやはりこの場ではダントツで気が抜けている。
「報告します! 〝イリス皇国〟より、エスト・イリス様。レヴィニア・イリス様。ご到着です!」
金髪の青年と薄ピンクの長い髪の少女だ。薄ピンク色の髪の少女レヴィニアは熊のぬいぐるみを持ったゴスロリの幼女を見ると嬉しそうに小さく手を振った。
それに気づいたゴスロリの幼女こと、アリス・アーデルハイトは照れ臭そうにしながらも熊のぬいぐるみの右を持ちふりふりとしっかりと手を振り返してる。
会議集まったのは各国の王族や貴族、総勢40名が集まっていた。護衛の数を合わせればもっといる。
「おい〝スマイル〟はどうした? まだ着かんのか?」
「もう少しでご到着なさるかと。自分達で来る方が早いからと〝宙船〟の手配も断られてまして……」
「何が早いだ! 一番、遅いではないか! これだから冒険者風情は信用ならんのだ!」
ある国の王族が苛立ちながら言う。そこには金色の長い髪の美しい女性が現れる。鋭い牙と背中からは立派な羽が生えている。
「昼から会議とは面倒だの。さっさと終わらせるぞ」
この女性は見た目は二十代半ばと言った容姿だが、姿ままの歳ではない。何百年もの時を生きる吸血鬼の長にして〝三王〟の一人──ヴァンドール・ブラッディナイトだ。
「ヴァンドール陛下、お言葉ながら、最重要な会議です。面倒とはあまり言葉が適切でないかと」
「六魔……いや、今は〝五魔導士〟だったか。シラセ・アヤセ。活躍はよく聞いてるぞ。ガリアペストの〝魔族〟の討伐に続き、つい先日〝バーバデッテリア〟では、大山賊の頭〝山梶〟を撃ち取ったそうだの」
「……恐縮です。ですが私も無傷とは言えない状態でした。まだまだ修行が足りません」
深傷では無かったもの、負傷と呼べるには十分の怪我を負ったらしいシラセは、本人は無意識だが、軍帽を深く被り直すという困った時に見せる癖を見せる。
その後も続々と各国の権力者が集まり始める。
「〝スマイル〟はまだか? 今回の議題に必要不可欠な存在だぞ。リーダーが世代交代で変わったとは言え、それ以外のメンバーは数名残っている。未だに世界最強の冒険者パーティーの名に相応しい実力者達だ」
中年小太りの王族の男が少しばかり声を荒げながら、そう言った直ぐ後だ。
「冒険者パーティー〝スマイル〟のリーダー。チェリッシュ・アーガイザー様、ご到着です!」
話に上がった世界最強の冒険者パーティーのリーダーの名前が呼ばれた。
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