第622話 天空都市ラタトイユ25
「え? 私もこんなに貰えるんですか? 私なにも役に立って無いのに」
「? 役に立つ、立たない所かお前がいなきゃそもそも依頼が受けられなかっただろう? あ、クレハ、お前も桜みたいに私は役に立ってないとか言うの無しだぞ。俺たちは上も下も無い。報酬は山分けだ」
「え、私も言おうと思ってたのに……」
「やっぱりかよ。とにかく山分けだ。黒芒もいいな」
「妾は酒とつまみがあれば何でも良い。でも、持ち運ぶのはちと面倒じゃの、まあ、影に入れとくかの」
黒芒は自分の影に金の入った布袋を仕舞う。
え? それそんなこと出来たのか? 〝アイテムストレージ〟じゃん。
「主様の〝アイテムストレージ〟(大)には遠く及ばぬが、影と言うものは便利な物よ」
俺の思考を読んだかのような黒芒。
「あ、あの、ユキマサさん。迷惑でなければお金預かってて貰えませんか?」
「うん? 別に構わんぞ」
ということで、金貨1枚と小金貨5枚を布袋に仕舞い、残りの金貨11枚を俺に預けてくる桜はホッとした様子だ。まあ、日本円で100万ちょいを持ち歩くのは気を張っちまうか。
「ありがとうございます。ふぅ……」
桜も俺に金を預けて落ち着いた様子だ。
「飯、食い行くか」
腹も空いてきたので俺がそう切り出すと。
「あ、賛成! 私もお腹空いてきちゃった」
「妾は酒が飲みたい」
「私は何処へでも」
皆は賛成(黒芒は酒だが)してくれ、この都市お馴染みとなった竹箒に乗りながら、飲食店を目指す。
ふふふ、今日は念願のマンモスもあるんだ。それを焼いてくれる店を探そう! もう骨付き肉、もとい漫画肉みたく肉のカットは済んでいる。さあ、念願の骨付き肉だ。マンモスの肉は流石に初めてだしな。
──が、結論から言おう、この都市にマンモスの骨付き肉を持ち込みで焼いてくれる店は無かった。
五軒回ったが「ウチは持ち込みはちょっと」「何この切り方の肉?」「すいませんがお引き取りを」と、断られてしまった。
完全に誤算だ。まあいい。天空都市では無理だが、この都市を出たら自力で調理してやる。
マンモスをウルトラ上手に焼くんだ俺は!
そんな野望を胸に俺は今ギルドの酒場で食事を取ろうと席に座っている。
「ユキマサ君、大丈夫?」
フード付きマントの俺の隣に座るクレハが元気の無い俺を心配そうに話しかけてくる。
「大丈夫だ。まあ、骨付き肉はまた今度で今はここで何か食おうぜ。クレハも桜も黒芒も何食う?」
気を取り直し俺は今日の晩飯を皆で決める。黒芒は相変わらず酒とつまみ、クレハと桜は何とギルドの酒場に入荷していたポーポマンモスのステーキを注文した。てかこれ俺たちが持ってきた奴じゃないの?
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