第618話 天空都市ラタトイユ21
というワケで竹箒から降り、徒歩で洞窟内を進む。
俺を先頭にクレハが続き、その後ろに横並びに仲良く黒芒と桜がついてくる。黒芒に桜は任せといてよさそうだ。
「洞窟なのに明るいな?」
「〝発光石〟だね。ほらこれだよ」
クレハが指差すのは、一定間隔で並んでいる鉱物だ。まるで誰かが整備した人工的な物のように綺麗に並んでるが、天然だなこれは。人の関与した形跡がない。
「大抵の洞窟にはあるよ。無い時は〝光の結晶〟を使う感じかな。昼間のように明るくなるよ」
そんな話をしながら洞窟を進む。出てくる魔物は大体俺が〝魔力銃〟で倒した。クレハと桜がせっせと〝ドロップアイテム〟を拾ってくれる。
歩くこと30分程で随分と奥まできた。
少し開けた場所に出ると、それに気づいた桜が短く「ひっ!」と声をあげる。クレハも息を呑んでいる。
赤い鱗に五本の首──通常種のヒュドラだ。
どうやら寝ているようだが、戦わなくちゃ先に進めそうに無いな。
ギルドでは魔物の更に一段階上の魔獸に位置付けられる奴だ。まあ、俺はその〝変異種〟を異世界初日に戦ってるんだがな。思えばクレハと出会ったのも、クレハが〝大都市エルクステン〟の街道に出たヒュドラの討伐隊に加わってたのが縁だったしな。後おにぎり。そう考えるとヒュドラとおにぎりは俺とクレハにとって重要だったと言えなくもない。
〝アイテムストレージ〟から〝月夜〟を取り出すと、同時に黒芒が扇を取り出す。
「黒芒、俺がやるぜ? 下がってな」
「何を言う。妾がやろう、主様は下がっておれ」
「じゃ、先に倒した方がってことで。よーい、どん」
その瞬間、ヒュドラの五本の首が宙を舞い、胴体が真っ二つに切れお馴染みのゲームみたいなラグが走りヒュドラは消えた。
「俺が先に胴体を切った」
「ふむ、妾のが少し遅れたのう。よいの、よいの、この妾に付いてこれるとは流石は主様じゃ」
黒芒は満足気に頷いた。
「……ユキマサさんも黒芒さんも凄いですね……」
「あはは、あの二人にかかれば魔獸も瞬殺なんだね。私たちなんてギルド騎士隊と冒険者でパーティー組んで挑んだのに……まあ〝通常種〟だと思ってたら〝変異種〟だったけど」
桜とクレハは軽く引き気味だ。
俺も黒芒も特に気にはしてないが。
「ユキマサ君〝ドロップアイテム〟がちょっと大きいかも〝アイテムストレージ〟に仕舞って貰ってもいい?」
「おう、任せろ」
防具の材料になるであろう、硬く丈夫そうな〝ドロップアイテム〟を〝アイテムストレージ〟に仕舞う。
「よし、この先にいよいよマンモスがいるぞ!」
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