第615話 天空都市ラタトイユ18
「そうだ桜、ポーポマンモスのクエスト報酬はいくらなんだ?」
俺は今更ながら根本的なことを聞く。
「えっと、金貨50枚からとなってます。本当に高額ですね」
「そうだな金額は高いな。からってことは大きさや品質次第で上乗せしてくれるってワケだ。まあ、それだけ稀少ってことか」
確か日本だと普通の牛一頭の値段は乳牛で90万、育成牛で50万、経産牛で40万程度だった筈だ。
対してポーポマンモスは日本円で500万~と来た。育成牛と比べたら10倍の相場だ。
これが高いか安いかはマンモス自体の相場がイマイチ分からない俺には判断が難しいが、とにかく大金が動く、ましてや冒険者パーティーの1日の収入と考えたら破格だ。何せ1日に500万だからな。
人員は4人だし、原価も無いようなもんだ。
ちなみにだが、クエスト報酬は報酬の半分を活動資金というか、皆の生活費に。もう半分を頭数で均等に分けようと思っている。それなら宿代や食費などの生活費はパーティーで賄え、個人の自由な金もできる。
あと黒芒の酒代も生活費にカウントしといてやるか。タダで飲む酒は美味いと聞くしな。まあ正確には黒芒もクエストには貢献してるんだしタダってワケじゃないか。
空を進むこと一時間程度。
俺たちはゼラの大森林の水辺に着く。
運良く、ここまでは魔物との会敵は無くスムーズに来れた。
浅い水場と緑の大きな木々が、何処までも続いていく。後、東京ドームサイズ3つ分ぐらいの洞窟があちらこちらに見える。ここがポーポマンモスの隠れ家ってワケか。
「おい桜、俺の近くを離れるな。出来れば俺の斜め後方上空辺りを飛んでいろ」
「主様よ、桜には妾が付いていよう。1ミリも心配は要らぬぞ」
竹箒を横座りに乗った黒芒が漆黒の扇子を広げながら桜の隣に移動する。
「了解だ。それと来るぞ、下だ!」
空飛ぶ俺たちに向かって、水面から人一人ぐらいなら簡単に飲み込むであろう大きな口を開けた、大きな魔物が飛び込んでくる。てか、何だこれ? カエルか? 大きなカエルの魔物。気持ち悪っ! ぬるぬるしてるし。
開けた口から今度は赤い舌が伸びてくる。ああ、カエルに食われる虫はこんな視点なのかね。
取り敢えず撃つかと思い〝魔力銃〟を〝アイテムストレージ〟から取り出そうとすると、
「任せて!」
黒芒と同じく竹箒を横座りに乗ったクレハが俺を制止する。まあ、正直俺がやってもよかったのたまが、ここはありがたくお言葉に甘えよう。
するとクレハは自分の腕に仕込んでいた短剣をパッとくるくると回転させながら投げる。スピードは時速約160km程度、野球選手の投球ぐらいの速さだ。




