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第612話 天空都市ラタトイユ15



 去り際、レイヴは意味深なことを言っていった。


「僕たちでは勝てないけど、他は分からない。君の討伐に〝スマイル〟が動いたと聞いている。彼女たちならば君たちの相手をできるだろう。では、去らばだ」


 〝スマイル〟? 何のことだ。


「おい待て〝スマイル〟って何だ?」


 それ以降は俺の問いに何も反応せず、ギルドの出口へレイヴたちは向かっていく。

 ……のだが、何やらギルドの職員に「ちょっと待ちなさい」と、その足を止められ、あれ? 何か怒られてるっぽいぞ?


 えーと、何々──「ギルド内での対人魔法の使用は厳禁です! 黒芒様が防いだからよかったものの人に当たって怪我で済めばいいですが、取り返しの付かない事態になったらどうするつもりですか! クエストを申請する方の中には小さい子もいたりするのですよ!」と、ド正論でお説教をくらってるよ。


 これにはレイヴもミモスも平謝りだ。終いには「ギルドへの一週間の出禁を命じます」だってよ。

 この世界の基準は分からんが、ペナルティとしては軽い方じゃないのか? まあ、ギルド出禁ってのは冒険者としては営業停止を食らったようなもんだけど。


 〝スマイル〟がどうのこうのとか言ってクールに去るレイヴたちに詳細を尋ねたかったのだが……


 聞きずれぇ……

 え? 何このそっとしてあげないと感。

 話しかけたら空気読めてないみたいな。


 新手かよ。

 うーん、どうするか?

 ダメ元で隣にいる黒芒に聞いてみるか。


「おい、黒芒〝スマイル〟って何だ?」


 何か哲学っぽくなったな。


「笑顔じゃな」


 真顔で即答する黒芒。


「あー、笑顔か。だよな。悪い、知ってた」

「ユキマサ君、とんちんかんなこと考えてるでしょ?」


 つんつんと俺の和服の袖を引っ張るクレハ。


「丁度よかった。クレハ、お前にも〝スマイル〟って何か聞こうと思ってた所だ。で〝スマイル〟って何だ? 世界一有名なハンバーガー屋のゼロ円メニューってオチは無しだぜ?」

「ハンバーガー屋? ユキマサ君の世界ではハンバーガー屋に何が売ってるの?」


 クレハは本当に不思議そうに俺をみていた。


 昔、酔った親父が世界一有名なバーガーが食べたいと言い出し、向かったバーガー屋で、テリヤキバーガー二つとポテト二つ、そしてスマイルを一つとキメ顔でそういった。

 帰り際、とことこと歩き、もそもそとテリヤキバーガーとポテトを俺と並んで食べる親父が「頼んだスマイルに真顔が混入していた」と寂しそうに呟いてた。


 食べていたポテトを吹き出さなかったのは我ながら頑張った方だと思う。

 店員もそりゃ苦笑いだろうよ。酔っぱらいに絡まれたワケだからな。すいませんね。家のバカな親父が。


 ★★★★★★作者からのお願い★★★★★★


 作品を読んで下さり本当にありがとうございます!


・面白い

・続きが気になる

・異世界が好きだ


 などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!

 (また、既に評価、ブックマーク、感想、いいねをいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)


 ★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!


 長々と失礼しました!

 何卒よろしくお願いします!

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