第609話 天空都市ラタトイユ12
クレハがマンモス狩猟のクエストの紙を取ると桜に少し申し訳なさそうに渡す。
「桜ちゃん、これ受けてきて貰っていいかな?」
「あ、はい。大丈夫です……けど、受けさせて貰えなかったらすいません」
「そんなの桜ちゃんが謝ることじゃないよ」
クレハが優しく言うと「ありがとうございます」と、桜は笑い返した。
桜がクエストの紙を受け付けに持ってくと、早速、一悶着あった。というか「ダメです。ポーポマンモスは動物ですが、今の貴方では危険過ぎます」と止められた。
急ぎ、そこに割って入ろうとするクレハの前に割って入る影があった。
「桜は妾の仲間じゃ。無論、依頼には妾も付いていく。この程度、妾には朝飯前どころの話ではないぞ」
長く艶めかしい黒色の髪を靡かせ黒芒はそう言った。最初は誰が割って入って来たのかと首を傾げる職員だが、まじまじと黒芒を凝視すると、何かに気づいた様子で、ダラダラと冷や汗を掻き、顔がどんどんと青くなっていった。
「せ……千妖……の……黒芒……」
腰を抜かした、ギルド職員を見て周りから、ざわざわと声が上がり、人が集まってくる。
「妾を知っておるか、ならば話が早いのう」
「黒芒さん!?」
いつの間にか音もなく現れた黒芒に桜は驚きの表情を見せる。
少しお酒の匂いがしたが桜は空気を読んだ。
「おい、あれ〝千妖〟だってよ!?」
「あの千妖伝説の黒芒か!」
「超美人じゃん、お近づきになりてぇぜ」
「一緒の同じく黒髪の子も超美少女だぞ!」
そんな声が聞こえるが、黒芒は気にも止めない。
「桜は妾の仲間じゃ。無論依頼には妾も同行する。これでも何か問題があるか?」
そうギルド職員に問いかけた時だ。黒芒の背後から男の声がした。
「何の騒ぎだ?」
チャラくはない、むしろ清潔と言って差し支えない鎧を着た金髪の男が現れる。手には鎧には少しミスマッチな辞書のように分厚い本が握られており、その後ろには完全武装の人間が2、30人いる。
「騎士……では無いの? 誰じゃ?」
「我々もそこそこには有名な自覚はあったのですが、流石に伝説とまで呼ばれた〝千妖様〟には知られてないようですね。改めまして私は冒険者パーティー〝魔導書図書館〟の副団長を勤めさせていただいています。ミモス・ラスと申します」
「ミモス・ラス。ふむ、覚えておこう」
「仲間と言っておりましたが、そちらの少女とは本当に仲間なのでしょうか? その少女は失礼ながら貴方には不釣り合いに見えますが」
ピクリと黒芒の動きが止まる。
「不釣り合いじゃと?」
黒芒は怒気の含んだ声でそう言った。
その瞬間、ギルドに居た全員が体をすくませた。
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