第605話 天空都市ラタトイユ8
「成功報酬だと? 君、そんなに自信があるのか?」
「治療に関してはそれなりに。風邪は治せないがな」
「風邪すら治せないのに病を治せると」
「そういう能力なんだよ。自分でも不思議だがな」
「はぁ……〝魔導書図書館〟のレイヴ・モルズだ。僕も同行する。言っておくが僕はレベル85だ。妙な気は起こすなよ?」
怪しい俺を見てこの親子の為に付いてきてくれるってワケか、コイツは成功報酬どころか無報酬なのにな。
「あんた、イイ奴だな。ついでに聞くが、その依頼書は受けるつもりだったのか? だとしたら悪いことをしたな。まあ、相場より大分、報酬は低いらしいが」
多分じゃなく、クエストの横槍はご法度だろう。
「人助けは嫌いじゃない。君が治療に失敗すれば次は僕の出番だ。この依頼書は僕が預かっておく」
やっぱイイ奴だな。コイツ。依頼書を預かるってのも、ルール違反な気もしないでもないが。
「で、どうする? 俺の案に乗るってことでいいか?」
俺は親子に問う。決めるのはコイツらだ。
「是非もありません。お願いします」
「決まりだ。あ、悪い少し待っててくれ。連れに話をしてくる」
そう言い俺は桜の〝精神疎通〟を通じて皆に話しかける。
『ちょっと出てくる。すぐ戻る、何かあれば呼べ。黒芒、昼間で悪いが留守を頼むぞ』
『うむ、任された』
『すいません。こちらも混んでて冒険者登録にまだ時間がかかりそうです』
『え? ユキマサ君、どこ行くの?』
『ちょっと仕事にな? 成功報酬だけど』
『そっか、いってらっしゃい。気を付けてね』
軽く連絡を済まし、俺は親子とレイヴに向き直る。と、レイヴが居ない。何アイツあんな意気込んどいて帰ったかと思ったら、何やら少し先で仲間と話してる。まあ、そりゃ声ぐらいかけるか。
レイヴが戻って来ると、
「お前の仲間は何だって? 反対されなかったか?」
と、問いかけてみるとムッとした様子でレイヴは口を開いた。
「僕の仲間を愚弄しないでくれ、冒険者とは荒っぽいイメージが強いかもしれないが、僕たちは自分達の正義を持って動いている。理由を説明したら皆後を押してくれたよ。それと病気に負けるなってね」
「そうか、愚弄したつもりは無いがお前がそう感じたなら俺は謝るべきだな。悪かった。イイ仲間を持ったな〝魔導書図書館〟と言ったか? 聞いた話しだと有名な冒険者パーティー何だってな」
「え? 〝魔導書図書館〟を知らないんですか!?」
ナオちゃんの母親に凄く驚かれた。
え? この人、頭大丈夫? ぐらいの勢いで。
あー、何か警戒心上がっちまったな。
久しぶりに踏んだな。異世界常識地雷。反省反省。
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