第604話 天空都市ラタトイユ7
依頼書? こんな幼い幼女がギルドに一体何の依頼だ? 見た所、年は5.6歳だぞ。
「〝パナケア草〟の採取。報酬は金貨二枚と銀貨十五枚と銅貨六十枚。随分と半端な報酬だ。それに〝パナケア草〟は厄介な〝パナケアドラゴン〟の体内で生成される稀少な植物、ドロップアイテムとしても、その相場は金貨十枚は下らない。そんな相場の半分以下の依頼に僕は少し疑問を抱いている。お嬢ちゃん、何か理由があるんじゃないのか?」
冒険者団長の言葉は小さな幼女相手にも真剣そのものだ。
「お父さんが重い病気でどうしても〝パナケア草〟が必要なんです。家にはあれしかお金がなくて……」
「妙な話だな。僕が知る限り〝パナケア草〟は流通が少なく、その利用法も少ない。ましてや重い病に効くとは聞いたことがない。一体誰に、そんな話を?」
「魔女様です。いろはの魔女様に聞きました」
「いろはの魔女だと!? あの嘘つき魔女が……」
その時だ。三十代ぐらいの黒髪の女性が割り込んでくる。
「ナオ! 何やってるの!? 心配したのよ!」
駆け寄る女性はどうやら幼女の母親のようだ。
「お母さん、ギルドに〝パナケア草〟の依頼をしに来たの。お金は持ち出しちゃってごめんなさい」
「いいのよ。私もギルドに依頼を考えていたからいろはの魔女様の言葉が本当なら、あの人はまだ助かる可能性があるなら、それにお金も用意するつもりよ。あれだけじゃ足りないでしょう。家を売ることになるかも知れないけど、命には変えられないわ」
「ふむ、いろはの魔女の言葉を鵜呑みにするワケにはいかないが、だが魔女の話は無視はできないな」
「おい、話に置いてくなよ。いろはの魔女だが、嘘つき魔女だかの話は知らないが、要は父親の病気が治ればいいんだろう?」
話してる隙にトンズラこいちまおうかと思ったが、少しばかり話を聞きすぎちまったな。
「それはそうですが、えーと、貴方は一体どちら様でしょうか?」
「そうだぞ。君は一体誰だ。確か君はお嬢ちゃんとぶつかっただけだろう? 怪しい奴め」
あ、うん。それが普通の反応だよな。
実際、顔を隠した指名手配犯なのだし。
「名乗るほどの者じゃない。だが、そうだな。医者みたいなことはできる。どうだ? この一件は俺に任せてみないか? 確か〝パナケア草〟は金貨十枚が相場らしいな。成功報酬の金貨一枚で構わない。だが、依頼内容は変えさせて貰う、名目は病気の治療だ」
そんな提案を俺はする。流れに任せて名乗らない選択をしたが「いや、名乗れよ」みたいに、そこを追求されたら詰みなんだよな。
すぐそこに俺の手配書あるんだし。
★★★★★★作者からのお願い★★★★★★
作品を読んで下さり本当にありがとうございます!
・面白い
・続きが気になる
・異世界が好きだ
などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!
(また、既に評価、ブックマーク、感想、いいねをいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)
★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!
長々と失礼しました!
何卒よろしくお願いします!




