第603話 天空都市ラタトイユ6
漫画に出てくるようなギルドの大きなクエスト掲示板には無数のクエストが貼ってあった。
薬草採取から魔獣討伐まで内容は様々だ。家の留守番何てのもあった。冒険者ってのは金さえ貰えれば便利屋とか何でも屋とかよろず屋みたいなもんらしい。まあ、勿論法律の範囲内での話だろうけど。
ギルドは大変混んでいるので桜の方はまだ時間がかかりそうだ。
ギルドのクエストの掲示板を眺めていると、ギルド内がざわつき始める。やべ、俺のことバレたかなと少しばかり自意識過剰なことを考えていると、ポツポツと声が上がる。
「おい、あれ見ろよ」
「〝魔導書図書館〟……」
「人類指折りの上級冒険者パーティーが何でこんな場所にいるんだ?」
(〝魔導書図書館〟? 冒険者パーティーのパーティー名か? うーん、聞いたことないな)
その辺の知識がまだ情弱な俺は人混みに紛れ、2、30人はいる中規模冒険者パーティーに目をやる。
冒険者と言うよりは騎士と言う感じの紫髪の男(恐らくはこのパーティーの団長)が、俺が見ていた掲示板とは別の掲示板を見て、顎に手を当てながら「ふむ」と、何かを考えてる。
その視線の先には──
「──!!」
やっべ、俺の手配書じゃん!? 白黒写真付きのやつ。その隣には〝ご協力ありがとうございました〟と、上からシールの貼られたシリュウの手配書がある。新聞によるとノアが倒したんだったか。
シリュウも俺と同じ金貨一万枚の賞金首だったが、ノアは賞金を受け取ったのかな? どうでもいいけど。そんなことより今はこの場を去ろう。あ、手配書取りやがった! うん? と、思ったら戻したぞ。いやー、よかった。よかった。諦めてくれたのかな。
うお、こっち来やがった。上手く人に紛れて距離を取らねば。
ドン。
こんな時に人にぶつかってしまった。
小さな女の子だ。何でこんな所に。
「すまない、大丈夫か? 痛い所があれば言ってくれ直ぐに治す」
手を差しのべ少女を起こす。
「大丈夫です。私こそ余所見をしていました。すいません」
黒いおさげの髪を小さく揺らしながら頭を下げてくる。
「何かあったのか?」
その間に〝魔導書図書館〟の団長が追い付いてくる。仕方ないやんわりとやり過ごすか。
「俺がこの子にぶつかっちまってな。怪我が無いか確かめていた所だ。騒がしくしちまってすまないな」
当たり障りなく俺は返事をする。
「そうだったか。見た所、怪我は無さそうだ。それとこの依頼書の依頼主はお嬢ちゃんで間違いないか?」
団長の男は優しく少女に問いかけた。
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