第602話 天空都市ラタトイユ5
このタイミングでクレハから冒険者カードを受け取り、どうしたものか……と、苦笑いの俺に桜が恐る恐るとゆっくり手を上げ口を開く。
「あの、じゃあ私が冒険者登録をすればいいんじゃないですか? リーダーは私になっちゃいますが、イチイチ全員分の仲間の詳細を聞かれたりはしません。それならば結果的には冒険者依頼をうけられるのではないですか?」
「それだ!!」
何でもっと早く気がつかなかったんだ。
クレハは騎士だし、つーかその前に俺に拐われたことになってるから論外だし。黒芒は分からんがこいつもこいつで面倒そうなことになる可能性が無きにしもあらずだからな。
そう考えると、どこからもノーマークの桜は冒険者登録に依頼の受注と報酬の受け取りには適任と言えるだろう。
「頼めるか?」
「はい! 任せてください!」
ぱぁぁ! っと、顔を明るくし「やった! 役に立てる」と、小さく呟いている。
そんなに気を使わなくてもいいのにな。まあ、でも正直マジで助かる。ありがとう。グッバイ異世界ニート。
早速、冒険者登録をして来ます。と、桜はギルドに向かう、クレハと黒芒、それとフード付きマントで顔を隠した俺もギルドへ続く。
ちなみに黒芒に昼だが寝なくていいのか? と、聞いてみると「少し興が乗った。昼に起きるのもたまには悪くはあるまい」と、今日は乗り気だった。昼に起きるのは悪くないどころかそれが普通なんだけどな。まあ、折角気が乗ってるんだ余計なことは言うまい。
流石に建物の中では箒は乗らないらしく、ギルドに入って直ぐに箒からは下ろされた。
フード付きマントを何か言われるかと思ったが、特に何も言われなかった。顔を隠しても普通に入れるみたいだ。結構ユルいな、ギルドのセキュリティ。
桜が冒険者登録をしている間に俺はざっとギルド内を見渡す。
こうしてギルドに入るのは久しぶりだな。このギルドは勿論初めてだけど。
ああ、好きだな。こういうギルドの雰囲気は。賑やかにクエストを選ぶ者。クエストから帰りドロップアイテムを換金する者。〝回復薬〟やら何やらを売ってる売店。結構広めに場所を取られた酒も提供してるらしいギルド食堂……いや、これは最早ギルド酒場と言った方が正しいな。
昼間なのに出来上がってる奴もいるよ。夜にクエストを受けて仕事帰りに飲んでるのかも知れないけど。
昼間から酒を飲んでるからと言って皆が皆アルコール中毒な奴という認識は間違っている。世界は一日中誰かしらが働いてるんだ。夜に働き、昼に寝る人はごまんといる。まあ、黒芒みたいなのもいるけど。でも、誰かに迷惑かけなきゃ、それも本人の自由さ。
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