第601話 天空都市ラタトイユ4
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太陽が真上に来て、日差しが強くなってきた昼中、串焼きを食べ終えた俺たちは、この都市でも1、2位を争う程の大きな建物に向かっていた。
やはり一般的に一階と呼べる場所には窓はあるが、入口は無く、二階ほどの高さの場所に大きく開けた神殿のような建物の入口に人々は入っていく。
「ありゃ、ギルドか? 〝大都市エルクステン〟程じゃないが大きいな」
入口から少し前に各自竹箒に乗った俺たちは立ち止まる。
「じゃあ、私、ちょっと様子見てくるね」
「ああ、頼む。にしても冒険者依頼を受けられないのは少し悲しいな。異世界の仕事と言ったら冒険者、冒険者と言ったらファンタジーなのにな」
「えっと、ユキマサさん、冒険者登録すればいいんじゃないですか? 誰でもできますよ」
「普通ならな。悲しいかな俺は普通じゃない。指名手配犯なんだ、冒険者登録もしてあるが、指名手配されてちゃ、まともに依頼は受けさせてもらえないだろう」
しらっと、依頼書でも掲示板から受付に持っていっても〝ステータス画面〟の提示を求められたらその時点で詰みだ。どうやら何かドタバタがあって今は引いてるみたいだが〝旧六魔導士〟の一人であり〝現四魔導士〟の一人である〝仙極〟に追われてる身だしな。
あの坊主のおっさん厄介なんだよな。油断もしないし、戦力は強いし、俺に静かにだが恐ろしいまでの殺意を向けてくるしよ。
まあ、指名手配犯を〝王国魔導士団〟が追うのは当たり前って言えば当たり前なんだけどさ。
「あ、忘れてた! これユキマサ君に渡してくれって、フォルタニアさんに頼まれてたんだった。冒険者登録の時は本当にうっかり渡しそびれたからって、凄い申し訳なさそうな顔で」
そう言い、ガサゴソとドイツ軍みたいな大きなリュックから一枚のカードを取り出す。
「冒険者カードか、今更だな。そういや冒険者登録しても何も渡されなかったから、不思議には思ってたんだ。血判は押したから、魔法的な物で管理されてるのかと思ったが、そうじゃなかったのか?」
「それもあるよ。まあ、この冒険者カードも魔法で管理されてるんだけどね」
つーか、フォルタニア、あんな出来る女の顔してそんなうっかりミスしてたのか? 口座作ってキャッシュカード渡されないような物だぞ。まったく。
まあ、渡しそびれて申し訳なさそうに凹んでるフォルタニアの姿を思うと可愛げはあるけどな。
「一応、受け取ってはおくが、本当に今更だぞ? 今後絶対に使わないとは言えないが、当分使わないぞこれ」
電気ヒーターの家が夏に灯油を買い込むぐらい今の俺には必要ない。
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