第599話 天空都市ラタトイユ2
串焼きのメニューはかなり豊富だった。
縞牛の牛タン、水豚のバラ、赤羊のラム、六首ダチョウのモモ肉、リトルホエール、もふもふうずらの卵、ドリルカジキ、ザリエビ、その他にも色々。
ダチョウにクジラにカジキまであるのか。
つーか、六首ダチョウって首が六つあるダチョウか? 普通にホラーの部類だぞ。
それぞれ二本ずつ頼み皆でシェアした。
串焼き屋の隣で酒が売っており黒芒にしつこくねだられ渋々買ってやった。まったく昼間だと言うのに、てか1日中飲んでるじゃねぇか。
本当に身体が心配になってくるぜ。もぐもぐ。
クジラ美味っ! クジラは学校給食で食べた以来だがこんな美味かったっけ?
もう一口! と、クジラ串を食べようとしたら、横から、パクりと黒芒にクジラ串を持ってかれた。
「おい、黒芒、行儀が悪いぞ! てか、俺のクジラ串……」
「これは美味いのう」
「お前自分の分は食べただろ?」
「美味いからおかわりじゃ」
と、黒芒は酒を口に運ぶ。
「まあ、もう一本頼めばいいか」
そう思ってた時期が俺にもありました。
「は? 売り切れ? ハハハ、そんなバカな……」
ガックリと肩を落とす俺、無いとなると余計に食べたくなるのは何でなんだろうね。
「売り切れじゃったか、主様は変な所で運がないの」
「まったく、覚えとけよ。クジラ一つ貸しだからな」
「うむ、借りじゃ! 妾が返すまで何処かへ行くでないぞ」
嬉々として黒芒は言う。
何処かへ行くな。黒芒は遠回しには言ってるが、借りを返すまで死んだりするなよってことか。
こりゃ当分、返ってきそうに無いな。クジラ。
後、今更だけど、黒芒は酒飲んで箒乗ってるけど飲酒運転にはならないのか? と、危惧するが、俺たちの後に酒を買ってった奴が普通にそのまま酒を飲みながら飛んでいったので、多分問題ないみたいだ。
クレハと桜は仲良く牛タンを食べていた。
桜も溶け込んで来たな。大分クレハが桜に気を使ってフォローしてくれてるようだが。
「ユキマサ君、串焼き美味しいね。特にクジラ、クジラが美味しいよ!」
「ああ、俺もそう思ったが、黒芒に八割食われた。しかも再注文しようとしたら売り切れだってよ。ったく、食べ物の恨みは恐ろしいんだぜ?」
「あはは、黒芒さん自由だからね。私の分、半分だけ残ってるけど食べる? あ、でも、間接キ──」
「マジか! イイのか!!」
クジラロスで凹んでた俺はクレハの言葉を最後まで聞かずに食い気味に発言する。
はて、クレハの顔が赤いのは何でだ? 熱でもあるのか? 俺は風邪は治せないから風邪だとしたら厄介だぞ。
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