第598話 天空都市ラタトイユ
竹箒に股がった桜が浮き始める。
「あ、私にもできました!」
やった! と、笑う桜。その姿を見てクレハも「桜ちゃん上手だね!」と、自分のことのように嬉しそうに笑う。
「これで入国条件は済んだな? 入っていいか?」
「うん、いいよ。いいよー、じゃ、楽しんでってね」
軽っ、入国審査とか無いのかよ? いや、この竹箒に乗れるか否かが入国審査だったのか?
ま、いいや。何にしろ数日ぶりの街だ。
「よし、行こうぜ!」
俺は竹箒にあぐらという中々珍しい姿勢で箒に乗る。まあ姿勢云々よりも日本じゃ箒に乗ると言うこと自体が極めて珍しいんだが。
黒芒、桜、クレハの順で続いて上がってくる。クレハはまだ箒に慣れない桜を後から見守ってくれてるみたいだ。あいつ面倒見いいよな。桜も懐いてるし。
ちなみに結局桜もクレハはや黒芒みたいに竹箒に股がるのでは無く横向きで乗っている。
高度を上げていき、街に入ると景色は通常の街とは少し異なるみたいだ。
「ほう、中々珍妙な街じゃな。昼間じゃが少し見て回るか、小腹も空いたしの」
「凄い空の上に街が」
「地面は誰も歩いてないね。あ、歩行禁止だって」
黒芒、桜、クレハが街を見ながらそれぞれの感想を言う。昼間に黒芒が自分から動くとは今日は雨でも降るのかね? こないだみたいな大嵐は勘弁だぞ。
つーか、折角の快晴なんだ。今日ぐらいは快晴を楽しみたい。故に雲一つすら出てほしくはない。
にしても爽快だ。空を飛ぶってのは古くからの人類の憧れの一つだからな。
飛行機やヘリコプターとはワケが違うぜ。
この都市では道行く人、すれ違う人が皆竹箒に乗っている。ぶつからないか心配だがそこはまあなるようになるだ。
「へぇ、この都市は屋根に看板があるのか」
屋根に店の名前やら何やらの看板が出ている。
全ての建物が二階建て以上であり。一階には扉は付いていない。小さい窓はあるみたいだが。
二階の扉みたいなサイズの窓を開き、店が商っている。果物、焼き串、パン、花、絵画、クレープまであったよ。異世界って以外と何でも売ってるよな。
「ユキマサ君、串焼き! 串焼き食べようよ!」
クレハが串焼きを見て目を輝かせている。
あー、肉好きだもんな。クレハ。
「よし、食うか。丁度腹も空いてたしな。黒芒、桜、お前らも串焼きでいいか?」
「妾も今それをねだろうと思ってたところじゃ」
「あ、はい! 私も串焼き食べたいです」
全員賛成ということで串焼きを買う。
一本銅貨二枚(日本円で約200円)というリーズナブルな値段だ。大きさも祭りの屋台のそれと遜色はない。
日本の祭りの屋台だと倍以上の500円はするのにな。
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