第596話 次の街へ7
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クレハの話だと2日で着くと思っていたが〝天空都市ラタトイユ〟までは3日かかった。
この遅れには天候が大きく関係している。
2日目は朝から外が台風が可愛く見えるような大嵐が俺たちを襲った。家の周りに結界を張り、大嵐の1日は俺たちは家に籠城することとなった。
その日、俺は魔法を駆使しメモリアルリングの製作に取りかかった。具体的には魔法で骨から炭素を抽出し、更に不純物を取り除き黒鉛化させる。そして高温高圧の環境下でダイヤモンドを製作する。
これも魔法の応用で行えた。ちなみに魔法とはイメージが大切だとクレハに習った。それに魔力と言う魔法の元になる力を流し込み、魔法を完成させるというのが、簡単な魔法の原理らしい。イメージが足りなかったり、イメージに対して魔力が足りなかったりすると上手く魔法が発動しなかったり、何も起こらず失敗するそうだ。
メモリアルリングは後は研磨してカットするだけだ。科学だと数ヶ月かかるが、魔法を使うとこんなに早いんだな。
遺骨からメモリアルリングを作るとDNAが破壊され誰の物か分からなくなるんだが、俺のスキル〝天眼〟は別にDNAが破壊されても問題なく判別できた。
「で、あれが〝天空都市ラタトイユ〟か? ラタトイユだろ! ラタトイユな筈だ!」
遥か上空、確かにその都市は空にあった。
「うん、というか、テンション高いね。こういう所、好きそうだもんね、ユキマサ君」
「本当に空にあるんですね。ビックリです」
桜も空飛ぶ都市を見て驚いてる。
「それにしても、何だ、あのぐるぐる飛び回ってる箒に乗った奴等は?」
近くにいる箒に乗った奴等の数は五人。
その姿は黒い三角帽子に黒いローブを羽織っている。まるで絵に書いたような魔法使いだ。
その内の一人、箒に乗った少女が俺たちに近づいてくるので俺は慌ててフード付きマントで顔を隠す。
「やあ、こんにちは。旅の人、それとも冒険者さんと呼んだ方がよかったかな?」
話しかけて来たのは、年は十代半ばぐらいの茶髪ツインテールの女の子だ。
「で、皆さんは〝天空都市ラタトイユ〟に入場をご希望?」
「ああ、四名で頼む」
「四名? 三人に見えるけど?」
論より証拠とばかりに俺は影の中の黒芒に「おーい、ちょっと起きろー」と、黒芒を起こす。
すると影の中から「何じゃ、まだ昼間じゃぞ」とご機嫌斜めに出てくる。
黒芒の登場にツインテール少女は、
「せ、せせせ、千妖の黒芒!?」
と、驚きの表情を見せる。有名人だなー、黒芒。
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