第593話 次の街へ4
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黒芒には米を炊かせた。「妾に米を炊けとは主様は主様属性を持ってるのう」と、言われた。
でも、手は動かしてくれてる。意外と何でもやってくれるんだよな。要領もいいし。
パストラミを切り、サラダを作る。
ちなみにパストラミとは肉を塩漬けにして燻製にし、香辛料で味付けした物だ。肉はビーフが基本だが、豚や鶏で作られることもある。でも今回は王道でビーフだ。
後は生姜焼きを作る。これは俺の舌が今生姜焼きだからだ。黒芒に米を炊かせているのもこの為だ。
風呂掃除が終わったクレハと桜が戻ってくると、俺はパストラミと生姜焼きどっちがいいか? と、あまり聞かない二択を選択させる。
どっちもでもありだぞ。と、言うとクレハと桜はどっちも、黒芒はパストラミのみをとのことだ。後黒芒の今日の酒は赤ワインらしい。
黒芒は生活を少し改善した方がいいと思うんだが、身体も壊すような身体じゃなさそうだし、どう言ったものかね。話を聞く限り年は最低でも千を超えているみたいだが、千年生きるってのは頭がおかしくなるくらい気が遠くなる時間なのだろう。
そう考えると酒にぐらい酔っていたくなる気持ちも分からんでもない。酒に酔っても誰かに迷惑をかけるタイプでもないしな。
「良い香りじゃの、生姜焼きと言ったか、主様やはり妾も貰って良いかのう? 美味そうじゃ」
「構わねぇよ。よし、もう一人分追加だ」
生姜焼きはみりんで味が決まると言っても過言ではないと牧野は言っていた。あいつ料理もできるんだよな。元気かな。理沙もこっち来ちまってるし、結果的には孤児院のこと丸投げになってるよな。次あったら礼と詫びを言わないとな。
通常は2、3ヶ月の熟成で出荷されるみりんだが(まあこの世界でもそうかは知らないけど)もっと倍以上に時間をかけ熟成されたみりんを使う。
〝大都市エルクステン〟でアリス達と買い物に行った時に買い込んだちょっと高めの長期熟成みりんだ。何でもアーデルハイト家御用達のみりんらしく、アリスもフィップも「みりんならこれなのです」「みりんならこれだ」のお墨付きだった。
牧野お勧めの隠し味は少量のハチミツだ。ハチミツには肉を柔らかくする効果がある。コクも出るしな。
米が炊き上がり、生姜焼きが完成すると皆で夕飯にした。クレハも桜も黒芒も生姜焼きとパストラミどちらも気に入ってくれたようで嬉しかった。
今日も黒芒に酒に付き合ってくれと言われ、酒に付き合った。ワインはあまり好きじゃないんだがな。でも、そんな俺でもパストラミと赤ワインの相性は抜群だと感じた。
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