第590話 次の街へ
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桜の家を後にし〝ジークア王国〟を抜けた俺たちは次の街に向け、足を動かしていた。
いつもの如く、街から街の間は丁寧な設備されていなく普通に山だ。更に俺たちは時間短縮の為、道無き道、具体的には谷とか大河とかを渡っていく。
黒芒は俺の影の中で寝てるが、問題は桜だ。
「おーい、桜、付いてこれそうか?」
「だ、大丈夫です。何とか」
そうは言っているが、息は少し上がっている。
それにクレハが上手く〝空間移動〟でサポートしてくれているようだ。桜一人では上り下りできない谷や、渡れない大河をクレハが手を取り〝空間移動〟を使い、何とかそれを乗り越え付いてきている。
俺も意地悪で付いてきづらい道を進んでるワケじゃないぞ。主な理由は桜の適正を見るためだ。
「桜、魔力とか魔法は使えるか?」
「魔力は基本的なことだけ、詠唱魔法とかは使えません……」
魔力は使えるのな。まあ、よかった及第点だ。
グループ通話みたいに任意で他の人と共有できる〝精神疎通〟を使えるらしいがこれは〝スキル〟みたいだ。
「そんな泣きそうな顔すんなよ。置いてったりしないから。もう少し行ったら少し休もう、この大河の先にはどうやら大きな湖がありそうだ」
俺はスキル〝天眼〟で辺りの地形を把握しながら進む。
(少し先に魔物もいるな。人もいる。動きを見るに魔物と戦っているみたいだ。冒険者か?)
クレハと桜が追い付くのを待ち、湖へ向かう。
*
到着した湖はとにかく大きかった。対岸が見えない。ミリアの湖より大きいな。透明度は同じぐらいだ。つーか、本当に異世界ってのは自然が神秘的だよな。
世界遺産顔負けだよ。本当に。
「桜、大丈夫か?」
「は、はい……大丈夫です。わぁ、湖、綺麗ですね」
桜は疲れも忘れ、湖を感激した目で見る。
てか、桜、可愛いよな。人拐いの奴等も十年に一度の何たらとか言ってたしな。
「クレハは大丈夫そうだな。改めて〝空間移動〟のスキルが羨ましいぜ」
〝空間移動〟って、本当に便利だよな。
あって不便なこと一切ないし。
「えへへ、いいでしょ? あげないよー」
イタズラに笑うクレハがヤケに可愛い。
桜に負けず劣らずの可愛さだ。
「貰っちまったらクレハが困るだろう?」
そんな会話をしながら俺は〝アイテムストレージ〟から、昼食を取り出す。朝にクレハが作ってくれていたサンドイッチと大鶏の唐揚げだ。デザートにはメロメロンも切って取り出した。
影の中にいる黒芒にも「昼飯だ。食うか?」と一応聞いたが「んー、いらぬ。妾はまだ寝る」と眠たそうな返事が来た。うーん、昼夜逆転じゃ昼飯は取りづらいか、綺麗な湖だから一緒にどうかと思ったんだけどな。まあ次の機会でいいか。
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