第587話 シナノの新生活20
「マジカルチョコレートバナナにスカイストロベリーをトッピングでミラクルホイップを増し増しの増しでお願いします♪」
アトラ先輩は恐らく魔法詠唱を唱えました。この人はクレープ屋さんに何か恨みでもあるのでしょうか?
「しなのんは何にしますか?」
「……?」
「何で〝?顔〟なんですか?」
「え、いや、アトラ先輩、魔法詠唱しましたよね?」
「え? 魔法詠唱?」
「違うんですか?」
確かによく考えるとチョコレートだとかバナナだとか聞こえた気がします。では、さっきの呪文のような物は……ハッ! 合言葉、恐らく合言葉です!
高級な店では合言葉を言うと裏メニューが頼めたりするとかしないとか聞いたことがあります。
「なるほど、合言葉ですか……」
「しなのんは時々よく分からないことをいいますね。決めかねてるなら、同じものを頼んでしまいますよ。すいませーん、マジカルチョコレートバナナにスカイストロベリーをトッピングでミラクルホイップを増し増しの増しでもう1つお願いします!」
店員さんから「かしこまりました」の返事が返って来ます。
「え? 今の注文だったんですか!? てっきり、魔法詠唱でこの店をバーンとやっちゃうのかと思いました」
「そんなことを考えてたんですか? しなのんは想像力がありますね」
そうですね。妄想は得意中の得意です。
妄想が何らかの形で仕事になるなら一儲けする自信があります。
まあ、そんな美味しい仕事は世にはありませんが。
アトラ先輩は二つで銀貨二枚(銅貨五~八枚あればどれも頼めると言ってましたが、どうやらトッピング等で割増みたいです)を素早く支払い(カッコいいです)クレープが出来上がるのを待ちます。
ふと、フォルタニアさんの方を見ると、クレープを口に運び「~♪」と、幸せいっぱいという顔をしていました。あの生真面目そうな人でもあんな顔をするんですね。いえ、クレープ様が凄いのかも知れません。恐るべし、クレープ様。
あ、ほっぺに付いた生クリームをエルルカさんにハンカチで拭かれて色白の綺麗な顔を赤くしています。微笑ましい光景です。エルルカさんのが年は上なのでしょうか? そう言えばクレープの支払いもエルルカさんが払っていました。
そんな二人が人類最高戦力部隊である〝王国魔導士団〟の一人(元ですが)と人類最大規模のギルドの副ギルドマスターだと思うと世界は頗る平和なように思えます。
クレープの生地を焼く甘い香りが何とも食欲を刺激します。早く出来ないかなと思いながらも私は興味津々にクレープが着々と完成する様子をワクワクしながら眺めます。
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