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第582話 シナノの新生活15



 チョップです。チョップが下されました。チョプられました。お母さんにもチョプられたこと無いのに。


 あ、でも、痛くはありません。ノーダメージです。これは私の防御力が強いワケではありません。アトラ先輩のチョップが優しいのです。


「しなのんは可愛いですっ! その服もとても似合います! 後、しなのんは自分を卑下にするのは禁止です!」

「な、禁止なんですか!?」

「はい、先輩命令です」


 初めて先輩命令が発令されました。

 でも、優しい先輩命令です。


「しなのん、それ買いましょうよ。すごく似合ってます」

「……本当に変じゃありませんか?」


「はい、変じゃありません」

「私が着てても?」


「はい」

「髪がボサボサでも?」


「はい。というか、気にしてるならトリートメントしましょう。私のトリートメント貸しますから」

「あ、ありがとうございます……なら……」


 なら、後はお値段です。

 Q『でも、お高いんでしょ?』

 A『ま、まぁ……ハハハハハ!』

 何て事になったら折角ですが却下です。


 ドキドキしながら私は値札を捲ります。


「っ!?」


「どうしました!? しなのん! 今度は何ですか!」


「ぎ、銀貨二枚……わ、私でも買えます……」


 こんなお洒落な服が銀貨二枚とは、価格破壊とはこのことを言うのでは無いでしょうか?

 これの百分の一くらいお洒落じゃなく失礼ながら質も悪くボロい服が〝フェフジンテの街〟では銀貨六枚はしていましたのに。

 え? 何故でしょう!? 都会のが物価が高いというのは世界常識の筈です。不思議です……


 ブラウスが銀貨二枚、ロングスカートも銀貨二枚、麦わら帽子が銀貨一枚でした。

 私は「これをください」とロビさんに小金貨一枚を渡し、お釣りの銀貨五枚を受け取ります。

 あれ? 服を買ったのにお金が余りましたよ。銀貨五枚も残っています。三点も購入したのに。


「しなのん、よかったですね。折角ですから着ていったらどうですか? そうです。そうしましょう!」


 アトラ先輩に更衣室に押し込まれます。

 着替えたばかりですのに。でも、いいです。私も着たいです。ああ、不思議です。買い物とは心をワクワクさせてくれます。

 特に新しい服と言うのはまるで自分が生まれ変わった気分です。しかも思ったより安く買えたのでよりハッピーです。

 リーズナブルな服屋さんに大入りの貰えるホワイトな職場……これが都会……〝大都市エルクステン〟引っ越してきてよかったです。


 このまま行けば今年は凍えること無く冬を越せそうです。このまま上手くいけばですが、でも、私は知っています。人生とは上手くばかりいかないことを、でも、少しだけ、ほんの少しだけこのまま上手くいくことを期待しましょう。期待するのはタダなんですから。


 ★★★★★★作者からのお願い★★★★★★


 作品を読んで下さり本当にありがとうございます!


・面白い

・続きが気になる

・異世界が好きだ


 などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!

 (また、既に評価、ブックマーク、感想、いいねをいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)


 ★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!


 長々と失礼しました!

 何卒よろしくお願いします!

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