第573話 シナノの新生活6
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システィアさんとミリアさんが帰った後も店は大忙し、注文を取り、料理を届け、会計し、空いた皿を片付け、時にお客の残した料理を胃袋に流し込む。
この一連のやり取りが数時間続きます。気づくとお昼のピークは過ぎ、午後の二ノ刻の時間にさしかかろうとしています。この時間になると一ノ刻半のラストオーダーを過ぎてお昼の営業時間が終わりを向かえますが、今日はまだピーク時の満席程ではありませんが人が沢山います。
ちなみにお客さんの残した料理を食べるのが私の楽しみの一つです。今日はどんなお残しがあるのか考えただけでお腹が空きます。行儀が悪いと言われますが私は気にしません。生きる為には誰しも食事が必要なのです。私からすれば美味しい料理を残す人の方がよっぽど行儀が悪いです。
っと、今日は少しばかり残業となりそうです。ですが今の私には数時間の残業ぐらい屁でもありません。
毎日美味しい食事を三食にシャワーベッドトイレ付きの住み込みのしかも時給銀貨一枚と銅貨五枚という超高時給です。少しぐらいサービス残業もしなければバチが当たると言うものです。
まともな仕事があると言うのは幸せなことです。
生活し貯金できるだけのお金も貰え、それにお店の皆さんはとても優しいです。店主のノブナガさんを始め、アルバイトのフウラさんまで皆、こんな私に優しくしてくれます。
ホワイト企業と言うものは極僅かながら実在するんです。そんな極僅かな場所に自分がいると思うとプルプルと手が震えます。
正直まだ現実だと信じられません。長い、長い素敵な夢でも見てるかのようです。夢ならば、願わくば覚めないで貰いたい物です。私はこの夢の中で暮らしたいです。
余談ですが、この仕事を紹介してくれたユキマサさんは今は、いえ私が出会う前から世界的に指名手配され、金貨一万枚もの賞金が懸けられてるそうです。それを思うと一人だけ幸せな自分が少し申し訳なくなり、胸がチクリと痛くなります。
はて、夢とは痛みを感じないものと聞きます。この胸を刺すチクリとした痛みはまさか今の幸せは夢ではないということでしょうか?
でも、そうするとユキマサさんの指名手配も夢ではなく現実と言うことになります。
うー、複雑です。ユキマサさんの容疑が晴れてしまえば、これ以上無いハッピーエンドなのですけど。
クレハさんも元気でしょうか?
失礼ながら破天荒で体力お化けなユキマサさんと毎日一緒なのです。疲労で熱でも出してなければ良いですが。
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