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第572話 シナノの新生活5



「最前線で〝魔王軍〟と戦ってたシスティアさんが足引っ張ってた何て言ったら、守って貰ってまで街から逃げ出した私たちは一体どうなるんでしょうか……」


 あわわ、と冷や汗を流すアトラはぷるぷる震えている。


「立場が違うよ。私たちは守るのが役目、君たちは守られるのが役目だ。言ってしまえば、その役目の為に我々は都市の平均収入より高い賃金を貰い食べていっているのだから」


 システィアは根本が違うと、そう告げた。


「それに比べミリアは大活躍だったな。最初の襲撃時の市民はミリアが守ったと言って過言でないだろう」


 ミリアのことながら誇らしげにシスティアは言う。


「そんなこと無いよ。あれはお父さんとお母さんが残してくれた杖と〝聖海の青玉〟のお陰だよ。でも、もうその形見も無くなっちゃった……」


 ショボンとするミリアは凄く悲しそうだ。


「ご両親の形見……」


 シナノが呟く。


「あ、あの、気持ちはよく分かります! 私も亡くなったお母さんがくれた、今は継ぎ接ぎだらけになったワンピースが形見で、そして私の一番の宝物です。ミリアさんがご両親の形見を使ってまで、私たちを、この店を、この街を守ってくれたミリアさんを私は誇りに思います!」


 もし私ならきっと逃げ出しちゃいます。と、シナノは興奮気味に話す。


「しなのん……」

「ありがとうございます。しなのんさん、そう言って貰えると嬉しいです」


 ミリアは優しく微笑んだ。


「あ、長々とすいません。お料理冷めちゃいますよね。私たちは仕事に戻ります。しなのん行きますよ」


 ペコリと頭を下げながらアトラとシナノは仕事に戻った。少し喋り過ぎてしまったとアトラは反省する。楽しく有るべき食事の時間に少し暗い話を蒸し返してしまった。反省だ。

 アトラは空気が読めないようで実は、ここぞと言う時には凄まじい勘を発揮する。


 シナノを連れ、女将のメリッサに「喋り過ぎ」と怒られながら仕事に戻ったアトラは店主のノブナガに許可を貰い、サービスでシスティアとミリアにデザートを届けた。

 パタパタと二人は気を使わないでくれと遠慮したが、アトラは持ち前の元気でごり押しして置いてきた。最後は二人とも笑ってくれた。料理屋〝ハラゴシラエ〟の食事はこうでなくちゃ。

 客も店員も笑顔でご馳走さまをするのが、料理屋〝ハラゴシラエ〟の掲げるモットーだ。


 食事を終え、会計を済ませるとアトラとシナノは二人に手を振り見送る。

 振り返り丁寧に手を振り返すシスティアとミリアを、特にミリアをシナノは「ああ、何でしょう。あの可愛い生き物は」と少し悶えながら見ていた。


 ★★★★★★作者からのお願い★★★★★★


 作品を読んで下さり本当にありがとうございます!


・面白い

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 などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!

 (また、既に評価、ブックマーク、感想、いいねをいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)


 ★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!


 長々と失礼しました!

 何卒よろしくお願いします!

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