第571話 シナノの新生活4
「大丈夫だ、ミリア。心配することは無い。エメレアは必ず目を覚ます。目を覚まさなかったら私があの世でも何でも連れ戻しに行ってやる。ミリア、君はもう私たちと出会った頃のように一人じゃない。私も、マリア殿……お婆ちゃんもクレハも皆、君の味方だよ」
心配ならば頼ればいい。
抱え込み、不安ならば相談すればいい。
押し潰されそうなら助けを求めればいい。
怖いのならば優しく手を握ればいい。
そうシスティアは言いミリアを励ました。
ミリアは、うん。うん。と、頷き。目にはうっすらと、いや、ポロポロと涙が溢れていた。
「うわっ! ミリアさんどうしたんですか!? 食事に何か不備でもありましたか!? ハッ! それともまさかまだお食事中のミリアさんのカルボナーラをしなのんに持ってかれてしまいましたか!」
ミリアの涙にアトラは仕事を忘れ慌て始める。
「待ってください。酷い冤罪がありましたよ!? いくら私でも人様の食事中のお皿には手をつけません」
有らぬ疑いに猛抗議のシナノ。
「ごはんもしなのんさんも悪くないです。泣いちゃったのは泣き虫な私がイケないんです……」
「わ、わ、私だって泣き虫ですよ!」
「そうです、私もです! 冬なんてお金なくて寒くて惨めで毎日焚き火の前で涙を乾かしていました」
アトラとシナノのフォローが入るとミリアはくすんと泣き止み「ありがとうございます」と励ましてくれた二人にお礼をいった。
「ミリアさんが泣いてたのはエメレアさんのことですよね? 確か〝精神性魔力障害〟だとか……私も今度お見舞いに伺わせて貰ってもいいですか?」
「勿論だ。アトラ殿いつでも来てくれ。きっとエメレアも喜ぶだろう」
「あの、私も行っていいですか? エメレアさんと言う方は面識はありませんがアトラ先輩からよくお話は聞いています。迷惑な話しかも知れませんが、常連のお客さんとは少しずつでいいんです。私も仲良くなりたいんです」
「しなのん殿と言ったかな? 勿論キミも来てくれるなら大歓迎だ。目が覚めたらエメレアには私から紹介しよう」
「は、はい! ありがとうございます! き、騎士隊長様っ!」
騎士隊長であり、しかも紳士的な対応のシスティアを相手にシナノは声を裏返しあからさまにテンパる。
「そう畏まらないでくれ。私のことはシスティアでいい。様付けも要らん。そんな偉い立場じゃない。私の場合は騎士隊長とは名ばかりだ。こないだの〝魔王戦争〟でも私は足を引っ張ったと言っていい戦果だった」
システィアは自虐気味に話した。
もっと強くならねば。頼りにならねばと言うシスティアの内なる思いをその場に居た者は強く感じた。
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