第564話 白フードの来訪者3
「なるほど。でも〝中央連合王国アルカディア〟では黙秘を通すのは大変だったのでは? 〝三王〟を始め、その手の話に敏感な方々が多かった筈ですが」
お茶に手を付けないロキが場を和ませる為か、少しおどけたように言う。
「あはは、あー、うん。大変だったよ。さっきも言ったように根掘り葉掘り聞かれたからね」
「想像が付きますね。私なら参ってしまいそうです」
「でも、大丈夫。魔王を撃退した人との約束だから喋れない。もしここで私が約束を破ったとして、今度はその魔王を撃退するような人を敵に回すことになったらどうするのかな? って、聞いたら、誰もそれ以上は聞いてこなくなったから」
ぐうの音も出ない正論で論破したらしいノアだが、これはノアが言ったから回りが黙ったのもあるだろう。優しく穏やかな声音で話すノアだが、彼女の言葉には反論を許さないような不思議な重みがある。
「そうだ、シアナさんとも話したよ」
「〝エルフの国〟の女王にして〝三王〟の一人、それであの方は何と?」
ロキの目が鋭くなる。シアナには一杯も二杯も食わされてばかりだ。こないだのフォルタニアの政略結婚の件もロキは許したわけではない。
ロキだって一人の人類だ。喜怒哀楽もあれば、理屈じゃない感情だって湧く。
「ユキマサ君のこと、ウルスラを倒してくれたことには本当に感謝してるって。それと手配書の件は申し訳なく思ってるけど、撤回はできないってさ。どうも最高貴族が裏で強く糸を引いてるみたい」
「最高貴族……あの豚共ですか。いえ一緒にしては豚に失礼か」
ロキにしては口汚く罵るが誰も気にしない。
「でも、ユキマサ君との約束だったらしい。フォルタニアさんの政略結婚の撤回の件はちゃんと守ってくれたみたいだよ。随分と苦労したみたいだったな」
「確かにしつこいあの国にしてはあれ以降は何の音沙汰もありませんね。ですが、魔王ガリアペストを倒し〝大都市エルクステン〟を、いえ、世界を一歩平和へと導き──〝原始の黒〟黒龍・ウルスラを倒し〝シルフディート〟の危機を救った。本当ならば栄誉と勲章を与えられるべきユキマサさんを、あの国は裏切った。ユキマサさんが指名手配? 最高貴族が何だ! むしろ奴等の汚職を余罪を数えればキリがない、裁かれるべき悪はどちらか!? 正義はどちらにあるか、火を見るよりもあきらかでしょう……」
無意識にロキは拳を強く握り、悔しさ、怒り、で震えていた。そんなロキをノアとエルルカ、それにフォルタニアは黙って見つめた。
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