第562話 白フードの来訪者
*
クレハが作ってくれた朝食を食べると俺たちは今日の行動を決める。
朝食は卵焼きとベーコンの他に米派の俺にはおにぎりを作ってくれ、パン派の桜にはサンドイッチを作ってくれるという心遣いのある朝食だった。ちなみに黒芒はおにぎり、クレハはサンドイッチを食べた。
食後にクレハの煎れてくれた緑茶を飲みながら俺は皆にこう告げた。
「今日でもうこの国は出ようと思う」
もうやることも無いしな。王族のしょっぴかれた国の政治も〝聖教会〟がやってくれるらしいし。
「私は賛成だよ」
「妾も異論は無いのう」
クレハと黒芒は頷いてくれる。
問題は桜だ。
「無理しなくて良いぞ? ここを離れるのにまだ決心が付かないなら、もう少し時間がかかりそうなら、待つから。落ち着いて決めてくれ」
「大丈夫です。もう気持ちの整理は付けました」
「そうか、メモリアルリング、必ず作ってやるからな。だが、もう少し時間をくれ」
「はい。待ってます。よろしくお願いします」
桜はペコリと頭を下げた。その目の前には綺麗に平らげたサンドイッチの皿が置かれていた。
*
──〝大都市エルクステン〟
ギルド・ギルドマスター室
そこには〝魔王戦争〟の後始末に追われるロキの姿があった。そこにコンコンコンと扉が叩かれフォルタニアが現れる。
「ロキ、お忙しい所、すいません。ロキにお客様です」
「私にお客ですか? はて、来客の予定は記憶してませんが」
「……そ、それが、来客は〝大聖女様〟です」
「う、え、へ? だ〝大聖女様〟が!? そ、それは無視できませんね。直ぐにお通ししてください!」
すると直ぐに一人の少女が入ってくる。姿は〝白フード〟で深く顔を隠し、そのフードの下からは長い紫の髪の毛が覗いている。
ポカーンとしながらロキは頭に〝?〟を浮かべる。
「この姿では初めましてかな。こんにちはロキさん。ノアです♪ お酒の席以来かな?」
少女が名乗った瞬間、反射的にビビっと背筋が伸ばされる。この存在感と強さ、間違いない、彼女が大聖女であると直ぐに認識させられる。
「私もいるわよ。こんにちは、ギルドマスター」
その後ろから現れた人物にこれまたロキはビックリ驚く。長い黒髪にモデルのようなスタイルの今は旅人のような服に身を包んだ美女は〝元王国魔導士団〟の一人〝剣斎〟エルルカ・アーレヤストであった。
「これはこれは、エルルカさん。先の〝魔王戦争〟の件ではお礼も言えず申し訳ありません」
「別にいいわ。実際そんなに役に立ってないもの」
表情を変えずエルルカは言った。自虐的な言い方だが、その姿はとても絵になっていた。
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