第553話 千の妖の黒き芒15
「──ふむ〝巨人族〟か。珍しい種族じゃのう、久しぶりに見たの」
「珍しさでは貴方程ではない〝幻霊種〟の黒芒よ」
〝巨人族〟の男の台詞に「黒芒だと!?」と最高貴族から驚愕の声が上がる。
「それはそうじゃのう。世界で一番数の少ない種族は〝幻霊種〟じゃからの」
パシッと、黒芒は扇を広げる。
「はて、なぜ、そなたは首輪など付けておるのじゃ? ファッションにしては奇抜よのう」
男の首にはファッションでは無い〝アダマンタイト鉱石〟で作られた首輪が付けられている。奴隷だ。
「俺は最高貴族様の戦闘奴隷だ。縁あって貴様の相手をさせて貰う。殺しにいくが悪く思うな」
「戦闘奴隷? そなた程の実力があれば逃げることも容易いじゃろう? 誰か近しい人を人質にでも取られたか?」
「……想像は自由だ」
少しばかりの沈黙が黒芒の問いの肯定を意味していた。黒芒は「ふむ」と少し考え込む。
だが、その間にも男は魔力を込めた2トンはある鉄球を黒芒の脳天目掛け振りかざす。
閉じた扇を軽く突き出し黒芒はそれをピタリと止める。
「何をしている、ゲルド! さっさと片付けてしまえ!」
「早くしろ! この愚図が!」
「でないと貴様の家族は全員あの世行きだ!」
最高貴族たちが叫ぶ。どうやら〝巨人族〟の男の名前はゲルドと言うらしい。
「良い攻撃じゃ、まあ天聖の足元にも及ばんがの」
黒芒が扇を振るう。ゲルドは全身に魔力を纏い、最高貴族たちに余波がいかないようにしながら盾になる。
黒芒も遊びで来ているワケではない。
間を開けずに攻撃を繰り出す。
王宮を割った一撃すらも止めたゲルドはまたしても黒芒の攻撃を止める。
「終わりか? 黒芒」
「この程度で終いとは舐められたものじゃの」
刹那、黒芒が回る。
すると強い風が巻き起こる。
それは次第に大きくなって行き最後には巨大な竜巻となってゲルドを、いや、国を襲う。
黒芒の起こした竜巻は鋭く、王宮の建物をクッキーが割れるかのように粉々に砕いていく。
「で、出鱈目だぁァァ!」
「ゲルドォ! 何とかしろ!」
最高貴族が慌てふためくが黒芒は竜巻に乗じて、最高貴族に近づき。
「一人目じゃ」
スパンと首を跳ねた。
潰したトマトのように赤い鮮血が王宮を染める。
「ひっ、き、貴様……我らを誰か承知の上での行動か」
「地位だの、権力だの、それしか言えんのか。この豚が。何故じゃ、何故、貴様らなんぞに、小童たちは……貴様らに奴等が何をしたと言う?」
「だ、誰のことだが知らんが、平民ごときが我ら最高貴族にいくら殺されようと文句は言わせんぞ!」
黒芒の扇が二人目の最高貴族の首を跳ねたのは最高貴族の男の言葉が終わってから1秒とかからなかった。
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