第520話 ジークア王国の宿屋3
「ところで桜よ。お主、以前に妾と何処かで会ったか?」
酒をクイっと口に運びつつ黒芒が桜に問いかけた。
「い、いえ、今日が初対面の筈ですが……」
そりゃそうだろう。ついこないだまで1000年もの間封印されてたんだからな。
どう考えても他人の空似だろう。
「ふむ、そうか……」
木樽のコップに入ったの中身の酒をくるくると回しながら黒芒は少しガッカリしたように呟いた。
「そういや、黒芒、お前〝幻霊種〟何だってな? 〝幻霊種〟ってのは今までで俺は二人しか会ったことが無いが、どういった種族なんだ?」
後から聞いたが〝六魔導士〟──いや、今は〝旧六魔導士〟か、そこにいた、パンプキック・ジャックが〝幻霊種〟だと聞かされた。
「ユキマサ君〝幻霊種〟の人はね、星から生まれるんだよ。しかも誰も彼もが歴史に名を残すぐらいに本当に強いんだ」
「ほ、星から生まれる!? うわ、それなんてファンタジー?」
「わ、何で、ユキマサさん、そんなに目をキラキラさせてるんですか? ──あ、いただきますっ」
質問が終わると丁度のタイミングで桜が注文していたサンドイッチと、クレハが注文したチキン南蛮が来て、育ちはいいのか、桜は綺麗に手まで合わせていただきますを言っている。
「ユキマサ君はそう言うのが好きなんだよ。あ、私もいただきます、桜ちゃん、さ、食べよ食べよ!」
「はい。クレハお姉さん、私お腹ペコペコです」
もそもそとサンドイッチとチキン南蛮を食べ始める二人は空腹も手伝ってか、美味そうに食事を進める。
そんな時だ──
髭ずらのおっさんが俺の肩に手を回して来たのは。
「よう、兄ちゃん、飲んでるかい? それにしても見かけねぇ顔ぶれだな?」
見かけない顔ぶれ? 少なくとも俺は指名手配犯で手配書も出回ってるから、この顔にピンと来たらぐらいには見た顔の筈だ。
「あんたは相当飲んでるな? 何か用か?」
「用って程の用じゃねぇよ。あんたらは知ってるのかい? 今日〝聖教会〟によってこの国の王族が全員しょっぴかれたってのを? しかも奴隷商のオークションハウスまで何者かによって破壊されたって話だ」
知ってるも何も当事者です。
とは、言えず。適当に流しておく。
「へぇ、大変だな。だが、それにしては嬉しそうだな」
「ったりめぇよ、バカみたいな税金から解放されるんだ。政治の後釜はあの〝聖教会〟がやってくれるんだ。こりゃ最高にめでてぇ日だよ、今日は」
がはは、と笑うおっさんは上機嫌だ。
「主様よ、酒を追加してもよいか?」
「ん、ああ、好きに頼みな」
飽きも早いのか髭のおっさんは「じゃあ、ゆっくりしろよ、兄弟」とか言って直ぐ様次のテーブルに去っていった。
つーか、テーブル全部回るつもりかあの酔っぱらい。
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