第519話 ジークア王国の宿屋2
酒に付きおうてくれと黒芒にせがまれ酒とつまみを取り敢えず注文した。
「クレハと桜は何を頼む? 腹減っただろ?」
「私は大鶏のチキン南蛮にしようかな」
「あ、あの、宿に入って、今更なんですけど、私、お金持って無くて……だから、食事は大丈夫です……宿代はすいません、貸しておいて貰えると助かります……」
「ハハッ、今更はこっちの台詞だ。衣食住は保証してやるって言っただろう? 一切の遠慮は要らねぇよ。好きな物頼みな?」
「で、でも……悪いです……何の役にもたたないのに」
「俺の旅の目的は魔王討伐だ。役に立つ立たないで仲間を決めてないと言えば嘘になる。でも、俺はお前を仲間として迎えると決めた。本当に遠慮は要らん、欲しいものがあればある程度の物は買ってやるぐらいの気持ちで俺はいるから、だから少しは頼ってくれれば俺は嬉しいよ」
そう言うと桜は小さく涙を流して、
「ありがとうございます……頼らせてもらいます」
と、頭を下げた。
「ああ、よろしくな」
「改めてよろしくね、桜ちゃん」
「で、何を頼む?」
「じゃ、じゃあ、サンドイッチをお願いします。私、お米も好きですが、パンが大好きなんです……」
遠慮気味に桜は答えた。自分のことを少しずつ話してくれたことに俺は少し嬉しくなる。
「私もだよ、両方美味しいよね!」
桜の隣に座るクレハも嬉しそうに笑う。
酒とつまみが来ると「いただきます」と二人先に乾杯をした。
「それで? 俺を酒に誘ってまで話したかったことは何だ?」
酒でも飲まなきゃ話せないこともあるだろう。酒は物事を悪い方向に運んでしまうことも多々あるが、適切に飲めばいい薬になってくれる。
〝酒は百薬の長〟なんて言葉もあるぐらいだ。
イタリアでは酒は健康のために飲むとされ、昼間から学生が飲むことも多々あるとか、無いとか。イタリアでは16歳から飲酒が認められてるしな。ちなみにこの異世界では13歳から飲酒が認められてたりする。
「ん? 別に話は無いが? 妾は主様と飲みたかっただけじゃ、1000年も禁酒しておれば、酒の一つもまた恋しくなるというものよ」
封印されてたのを禁酒と言うのかは謎だが、まあ飲んでないって言えば飲んでないからな。突っ込むのはやめて置こう。ハム美味いな、もぐもぐ。
「それでいいさ、話したくなきゃ話さなくていい。それでお前との関係が何か変わることは無いからな」
はて、どうやら俺は自分が頭で思うより本能では黒芒を信用してるらしい。
追加で頼んだ唐揚げや何だか分からない魚の刺身(白身魚だがこれがやたら美味い)のを黒芒とシェアしながら食べた。ちなみにサラダも頼んだが、黒芒は一切口を付けなかった。野菜食えよ、野菜!
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