第514話 奴隷の解放2
「なあ、神様、俺はいつまで夢を見てられるんだ?」
亜人の男はこの時に酔いしれるかのように話しかけて来る。つーか、誰が神様だ!
「神様だ? まだボケてんのか? ケガは全部治した筈だぜ?」
「あれだけ痛かった身体が今は何処も痛くねぇんだ。これは夢で確定だろ? 頬をつねるまでもねぇ」
男は小さく涙を流しながらそう言った。
「それに俺は毎日願ってた。助けてほしい。身体を治してほしいと、夢でもそれを叶えてくれたアンタは俺に取っては神様のそれと何が違うんだ?」
「酔狂だねぇ。だが御生憎様、俺は神様なんてあんな立派な存在じゃねぇよ。こう見えて俺は金貨10000枚の指名手配犯だ」
残念だったな。本物の神様じゃなくてと俺は笑う。
男はポカーンとして動かない。
「ユキマサさん! こっちもお願いします! 片足が無く歩行は困難です!」
「分かった。直ぐに行く」
レモンに呼ばれた俺は直ぐにそちらに向かう。
治せども治せどもどんどん負傷した奴隷が運ばれて来る、ジューリアも奴隷紋の解呪に手一杯の様子だ。
「こっちも重傷だな」
奴隷への拷問、これに一体どれ程の意味がある?
クソ、腹が立ってきたな。
その後も奴隷の解放に勤しんだ。
気が付くと日が暮れ、夜になっていた。
「粗方、片付いたか? 100は居たな。よく反乱も起きなかったもんだ」
「その為の奴隷紋ですから。先輩様に手伝っていただいて本当に助かりました。ありがとうございます」
「どういたしまして、今日は礼を言われてばかりだ」
「私もです。クレハさんも桜さんもありがとうございました」
一階の牢屋の奴隷解放をしていたクレハと桜にもジューリアは丁寧に礼を言う。
ちなみに奴隷解放にクレハは大活躍だったらしい。具体的に言うとクレハの〝空間移動〟のスキルで手錠や足枷を外す事に成功したとのことだ。
本当に便利だよな〝空間移動〟俺も欲しいぜ。
桜も〝ポーション〟や食事を配ったりと働いてくれたらしい。
「いえ、私は何も」
「く、クレハさんが何もしてなかったら私なんて邪魔をしてたに近いですよ……」
そんな会話で謙遜するクレハと桜。
ちなみに黒芒は俺の影の中に入り地下室へ一緒に来ていた。最初はレモンと一緒に手錠や足枷の破壊を手伝ってくれ、その後は「興が冷めた」と言いまた俺の影の中に帰っていった。
「ジューリア、この人数をどうすんだ? 本当に〝聖教会〟で当面の面倒は見れるのか?」
「ええ、私たち〝聖教会〟はお金だけはあり余ってますから、衣食住は当面の間は心配要りません」
「〝大都市エルクステン〟へ連れていくのか?」
「いえ、今はあの都市はごたごたしてますので〝ラードヤット王国〟へ向かいます」
「詳しくは知らんが、また王国か?」
「確かな筋ですのでご心配には及びません」
「そうか、ならいい。お前がそう言うのなら確かなんだろう」
その日の夜風は妙に寒かった。
こりゃ暖を取るのも必要だな。
★★★★★★作者からのお願い★★★★★★
作品を読んで下さり本当にありがとうございます!
・面白い
・続きが気になる
・異世界が好きだ
などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!
(また、既に評価、ブックマーク、感想、いいねをいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)
★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!
長々と失礼しました!
何卒よろしくお願いします!




