表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/859

第50話 幸運の少女2



 ──こいつ、何で分かったんだ……?


 知り得ない筈の俺のフルネームを、目の前の会ったばかりの白フード少女に当てられた俺は素で驚く。


(いや、別に〝フルネーム〟がバレても、不味い訳でも、女神様(アルテナ)に口止めされてる訳でもないんだが、流石に気になる。というか、正直、少し気味が悪い……)


 それにかなり不自然だ。──例えば〝相手の名前が分かる〟みたいな〝スキル〟や〝魔法〟があったとしても、今みたいに()()()で聞いてくる必要は無い。


 もし、そんな〝スキル〟や〝魔法〟があって、裏をかいて、この白フード少女が、わざと()()()で聞いてきたとかだったとしても……


 だからどうなる? 何の有効打にもならない。


 まあ、クレハが話したという可能性もあるが……


 でも、恐らくそれはない。それに別にクレハが話したとかなら、それはそれで別に構わないしな。


「──フルネームも名乗った覚えは無いんだがな?」

「それは、正解として受け取ってもいいのかな?」


「そうだな。正解だよ」


 まあ〝異世界〟では、分かりやすいように〝姓〟は名乗らず、ユキマサで通していただけなんだがな。


 それにユキマサの名前だけでも、俺と同じ名前の者が、この〝異世界〟にいると思わなかったし。


「うんうん、素直だね、私的には好感度高いよ?」


 と、白フード少女は、クスリと笑いながら、満足そうな様子で頷いている。


「お前、稗月(ひえづき)と言う名前だったのですか?」


 今のやり取りを黙って聞いていたアリスが、少し不機嫌そうな顔で聞いてくる。


「正確には稗月(ひえづき)が名字で、名前が倖真(ゆきまさ)だ。俺の故郷では〝姓〟が先で〝名〟は後から読むんだよ」

「何処の生まれなのです? スイセンの国ですか?」


「いや、もっと遠い国だ。強いて言えば東の方だ」

「……釈然としないのです」


 俺の回答がお気に召さなかった様子のアリスは、ムスッとしてらっしゃる。


「それでだ。何で俺の名前……しかも〝フルネーム〟を知っていた? ──お前とは初対面の筈だし、そこの〝ロリッ子お嬢様〟や〝桃色吸血鬼〟みたいに、俺は有名人でも無ければ、()()はギルドや〝ステータス画面〟にすら公表して無いんだぞ?」


 実際の所。俺もスキル〝天眼〟を使えば──相手の〝ステータス画面〟の()()()()にされている、名前や、レベルは見ようと思えば、除き見ることができるのだが……


 俺みたいに〝稗月倖真(ひえづきゆきまさ)〟の──(せい)を省き、(めい)のみの()()()()を、自身の〝ステータス画面〟を反映させていれば、もし何らかのスキルで見られたとしても……


 ―ステータス―

 【名前】 ユキマサ

 【種族】 人間(ヒューマン)

 【性別】 男

 【年齢】 16


 最低限の()()()()になっている、この〝ステータス画面〟のそれ以上の物は見られる事は無い筈だ。少なくとも、俺のスキル〝天眼〟で見れるのは、今の所はこれが限界だ。


 だから、非公開設定である所の、俺の稗月(ひえづき)の名字が分かる事は、まず無いと俺は考えていた。


 まあ、勿論、この少女が俺の〝天眼〟以上のスキルを持ってる可能性も否めないが──

 ……というか、その可能性が一番高いんだがな。


「うん、そうだね。私も、君とは〝はじめまして〟で間違いないと思うよ。けど、私は君に会いたかったんだ。でも、まさか、こんなに早く会えるとは思ってなかったけどね──」

「悪い、どういう意味だ?」


 今の返事だと、本当に意味がよく理解ができなかったので、俺は直ぐに素で聞き返す。


「ふふ♪ 私、こう見えて凄く運が良いんだ♪」


 ……うーん、ダメだ、よく分からない。

 でも、不思議な事に、この会話は一見(いっけん)〝言葉のキャッチボール〟が成立してないように見えるのだが……


 何故か、この少女の返答の意味は本当によく分からないのに、ちゃんと質問の答えは返ってきているという、()()()()()()がある。


「かなり遠回しな言い方だな? 今は答えられないって事か?」


 それと、この少女の的外れに思える言葉の、そのひとつひとつに、これまた不思議な重みを感じる。


「そうなるかな。ごめんね。でも、すぐ話せる時が来ると思うよ──それと、アリスさん、フィップさん、ごめんなさい。これは理由があって、2人には見せられ無いんだけど、悪く思わないでね」


 そう言うと、白フード少女はその場で指をスライドし、()()()に向け、この異世界お馴染みの〝ステータス画面〟を見せてくる。


 ―ステータス―

 【名前】 ノア

 【種族】 人間(ヒューマン)

 【性別】 女

 【レベル】100↑

 【年齢】 17


 ノア。これがこの白フード少女の名前か。

 年齢は17歳ってことは俺より1つ上か、誕生日によっては、同い年か?


 そして、俺が何より目が行ったのは、レベルの表示上限である筈の──レベル〝100↑〟という項目だ。


 アルテナの話だと〝レベル100以上〟は、()()()それ以上の数字はステータス画面には表示されず〝100↑〟としか、表示されないと聞いている。


 このノアと言う少女はレベルだけ見ても、人類でもトップクラスの実力者らしい〝六魔導士〟の一人である──エルルカや、そこで先程から険しい表情で、アリスを守るように立っている〝アーデルハイト王国〟の()()()()()()である、吸血鬼のフィップよりも()という事になる。


「私の名前。よければ覚えておいて貰えるかな? できれば、私の事は、今は秘密にしておいてくれると助かるな──まあ、私の勝手なお願いになっちゃうから、バラされても私に怒る権利は無いんだけどね♪」


 と、最後の方はあっけらかんとした様子で、笑いながらそう伝えて来る。


「……分かった。今は黙っておくよ、白娘(しろむすめ)?」


 名前は覚えたが『今は秘密にして』との事なので、俺は適当にパッと見の姿の、()フード()から、安直に()()渾名(あだな)を付けて、この少女を呼ぶ。


「ふふ、白娘か♪ そんな風に呼ばれたのは初めてだよ。可愛い呼び方だね、気に入ったよ♪」


 ノアは女の子らしく、グーにした左手で口元を隠すようにして、クスクスと楽しそうに笑っている。


「それじゃあ、私はそろそろ失礼するね。多分、また、すぐに会えると思う気がするから、その時はまた改めて仲良くしてね? ──アリスちゃんとフィップさんも、またね。色々とごめんなさい」


「あ、オイッ──!?」


 俺はノアに声をかけるが……


「あ、それと、ユキマサ君、()()()()拾ってくれてありがとね! それじゃあね!」


 こちらに背を向け、首だけで少し振り返り、軽く片手をヒラヒラと振りながら──ヒュン! と、まるで消えるようにノアは去っていく。


 ノアが去ると、辺りにブワッと強めの風が舞う。


 そしてその風が収まる頃には、

 そこにノアが居た()()は何も残ってなかった。


(……ッたく、どうしろってんだよ?)


「──お嬢、怪我は無いか……?」

「私は大丈夫なのです。そんな事よりも、あれは一体、何だったのですか?」


「さあな、あたしが聞きたいぐらいだ。やっぱ、()()に何て活動するもんじゃねぇな。どっと疲れるぜ……」


 ノアが去り、今までかなり警戒していたフィップが、ゆっくりと息を吐き、忌々しそうに太陽を睨む。


 ……てか、やっぱ吸血鬼って太陽苦手なんだな。




 ★★★★★★作者からのお願い★★★★★★


 作品を読んで下さり本当にありがとうございます!


・面白い

・続きが気になる

・異世界が好きだ


 などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!

 (また、既に評価、ブックマーク、感想をいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)


 ★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!


 長々と失礼しました!

 何卒よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ