第507話 捜査
「おいロップイヤー、なぜ止めた? 俺はそいつを殺さなきゃならない。こいつは生きていちゃいけねぇ人間だ。退け! こいつを今ここで逃したら、これからコイツが行う悪行は全て俺のせいになる──!」
この手の輩は放置した人間にも責任がある。
だから俺はコイツを殺す、そう決めた。
「退きません」
腹の底から響くような芯の通った力強い声だ。
「主様の邪魔はさせんぞ?」
影移動で黒芒がツーサイドアップのロップイヤー少女の前に現れる。
「──せ、千妖!? やはり、アルドス様の、フォールトューナ家の封印が解かれたと言うのは本当だったんですか!?」
ぴょんぴょんと綺麗なバックステップで距離を取る。いい冷静な判断だ。
「黒芒、よせ。下がれ」
「ユキマサ様、ここは我々にお任せください。必ず、この者たちには然るべき制裁を下すと約束します」
「我々? だから誰なんだお前は?」
そこに新たに割ってはいってくる人影がある。
「先輩様! どうか、話を聞いてください!」
「ジューリア・クーロー!? 〝聖教会〟が何でこんな所に来てるんだよ?」
慌てて間に入って来たのは綺麗な長い金髪の女性〝聖女〟ジューリア・クーロー。
〝聖教会〟でも屈指の実力者だ。
そして俺を何故か先輩様と変わった名で呼ぶ。
だが、こっちのロップイヤー少女の方が実力的には強いな。ノア程では無いが、下手すりゃ〝六魔導士〟とそれなりに渡り合えるんじゃないか。
「それはこちらの台詞です。私たちは〝ジークア王国〟の捜査に来ています。この国には今〝奴隷制度廃止法違反〟の嫌疑が掛けられています。私には貴族や王族ですら独自捜査をする権限があります」
ジューリアが懐から取り出した羊皮紙には〝上級巡察官委任状〟と書かれ、最後にはジークパング・ネモゴールドと言う人物のサインと判が押してあった。
「ふざけるな! そんなことが許されるわけ!」
王族が叫ぶ、先程より冷や汗を掻いてるようだ。
「許されないのはあなた方の行いです。奴隷何て非道な事は今のこの世に決してあってはならないのです」
ロップイヤー少女が凛とした声で告げる。
「〝聖教会〟……しかも〝聖女〟に〝天童〟がお出ましとは、奴隷商のわしはここまでか」
そう言う奴隷商人は降参とばかりに手を挙げ……
懐から煙幕を投げた。
爆風のように煙幕が広がっていく。
だが、次の瞬間、バッとロップイヤー少女が刀を振った。
更に強い爆風が一瞬で煙を晴らしていく。
「無駄な抵抗はお止めください。逃がしはしません。世界の果て迄も私はあなた方を追い続けます」
キッと、刀を奴隷商人に向けながらロップイヤー少女は凛とした声で力強くそう告げるのだった。
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