第506話 要らない
俺とアロの戦いの決着は一瞬のことだった。
息を吐き、刹那の瞬間、俺は魔力を込めた〝短剣〟を振るった。
1ミリの狂いもない俺の刃はアロの短剣を中心から壊し、その後、アロの懐に入り、アロを切り裂いた。
「ぐふっ……」
鮮血を撒き散らしてアロは倒れる。
「そのまま寝てな、動くと死ぬぜ?」
さて、邪魔者は片付けた。
後は目的の王族と奴隷商人の始末だけだ。
腰を抜かしながらも逃げようとする、王族6人と奴隷商人の前に俺は瞬時に移動する。
「悪いが、逃がしはしねぇよ」
ぐぬぬ、と、往生際の悪い、プライドだけは一丁前な王族は忌々しそうに俺を睨む。
「要求は二つ
・全奴隷の解放
・奴隷商の廃業
たったそれだけだ」
「何を戯けた事を」
「お前、状況分かってんのか?」
「それはこちらの台詞だ。国家反逆罪で貴様は死罪だ! 逃げても無駄だぞ、世界に指名手配される!」
「生憎、善くか悪くか、もう俺は指名手配犯だ。今さら、国をもう一つぐらい敵に回してもそんな変わらん」
「な、何を……く、それに奴隷をかばって貴様に何の得がある! 奴隷なんぞ俺様のただの玩具だ! 壊して、貶して、殺してやるよ! ハハハ! お前のせいだ! お前は俺を怒らせた! 奴隷は全員、生まれたことを後悔させる殺しかたをしてやるよ!」
カチン、と来た。
久しぶりだ。こんなにイラついたのは。
「ああ、ダメだ、お前はダメだな。殺すつもりは、まあそんなに無かったが、もう一度だけ言う、お前はダメだ。救いようのねぇバカってのはどの世界にも居るもんだな。それに──俺の救う世界に奴隷もお前も要らねぇ!」
俺は〝アイテムストレージ〟から〝月夜〟を取り出し、王族の首に〝月夜〟を振り下ろす。
「ひっ!!」
ガキン!
「ッ!?」
防がれた!? 勿論、王族にではない。
俺の攻撃を防いだのは突如現れた白ワイシャツに黒のネクタイ、そして黒のスカートを履いた、ツーサイドアップの長い紫の髪、150cmちょい程度の小柄ながら、幼さの残る顔から察するに15歳ぐらいだが、胸部の発育は良い方らしい。凛とした少女だ。武器は──に、日本刀!? いや、まさか。日本が無いのに日本刀があるワケがない。
あ、スイセンの国か! そこなら日本文化に近い国の筈だ。日本刀に似た刀があっても不思議では無い。
そして一目で分かった。コイツは強い。
さっきのバイザーとアロよりも遥かに。
「そこまでです。稗月倖真様、この国と奴隷の事は後は我々にお任せください──」
「誰だ、お前?」
その隙に逃げようとする王族。
シュッと少女は逃げ出す王族に刀を向ける。
「動かないでください。逃がしはしません」
王族にも有無を言わせない力強い言葉だった。
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