第501話 精神疎通
*
中央広場に戻るとクレハと黒芒がいた。
ピエロのショーを見たあの場所だ。ピエロの正体はトランプだったワケで、そのトランプはソリアとある意味逃避行なワケで、今はもうピエロの姿は見えないが、街は賑わっている──いや、騒がしいぐらいだ。
「ユキマサ君!」
嬉しそうなクレハ。これはミリア達の安否を確認しに行った後にこの表情なら大丈夫そうだな。
「どうだった? ミリアたちは」
「うん、大丈夫だった。全員白紙。詳しい安否までは分からなかったけど、ミリアもエメレアちゃんもお婆ちゃんもシスティアお姉ちゃんも皆生きてたよ。何とか乗りきったみたい」
「そりゃよかった」
「で、主様よ。そこの女は誰じゃ?」
ビクッと俺の後ろから桜が顔を出す。
「コイツは桜だ──これから俺たちの仲間になる。後〝精神疎通〟が使える」
「ふむ、まあ主様が決めたことなら異論は無いが。妾は黒芒じゃ」
「ま、また違った可愛い子……あ、私はクレハです」
二者択一のコメント。特に反論は無かった。
後大まかに桜との出会いの経緯を説明した──
「──酷い! 桜ちゃん可哀想!」
「クレハさん、く、苦しいです……」
「あ、ごめんね。話を聞いてたらつい……」
「いえ、嬉しいです。クレハさん良い人ですね。優しい匂いがします」
ナデナデと桜の頭を撫でてるクレハ。会って数分、もう二人は仲良くなりつつある。
「クレハさん、黒芒さん、少し手をいいですか?」
桜の問いに「あ、うん」「構わんぞ」と二人は手を差し出す。桜は二人の手に触れると「ありがとうございました」と直ぐに手を離す。
『──皆さん、聞こえますか?』
頭の中に直接声が響く。
『あ、うん、こちらクレハ。聞こえるよ。桜ちゃん』
続いてクレハの声が頭の中に響く。
『ほう、己だけでは無く、他者にまで直接言葉を繋ぐか。エルフでも出来る者は居ないじゃろう、珍しいの、通話圏内はどれぐらいじゃ?』
今度は黒芒の声が頭に響く。
『制限はありません。星の裏でも通話が可能です。これならば私も少しはお役に立つでしょうか?』
『十分だ、俺たちの目的は魔王討伐だ。本当に良いんだな? 来れば引き返すのは困難だぞ』
『はい、お願いします。どのみち私には行くアテはありません。救っていただいた命、微力でもユキマサさんのお役に立ててください』
「よし、決まりだ。クレハと黒芒も異論は無いな?」
「うん、よろしくね。桜ちゃん」
「主様の決めたことならば妾に異論は無いぞ」
と、二人も頷いてくれた、こうして新たに旅の仲間に桜が加わるのだった──
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