第497話 奴隷オークション10
奴隷の解放が終わると、泣き出す者、喜び叫ぶ者、へなへなと力が抜けて立てなくなる者と様々だった。見た感じ泣いてる奴が一番多いかな。
後は──金か。
一人頭金貨10枚渡すとして金貨1000枚。
日本円で一億円だ。
さてここに種も仕掛けもない二枚の星金貨がある。
ノアの話だと1枚で一億円という化物金貨だ。
それを一枚、用立てれば問題は解決する。
んだが! 両替ができねぇ……
星金貨……もとい、一億円の両替何て銀行にでも行かないと無理だぞ。後俺指名手配犯だから無理だぞ。
うーん、いくら糞奴隷商とは言え、これはしたくなかったんだが、背に腹は代えられんか。
と、やって来たのは奴隷商の金庫だ。
ガキン、と、扉を壊すと中から金貨がザックザク。これを奪って元奴隷たちに配れば人生の再スタートに必要な最低限の金が渡る筈だ。
まあ、本当にこれじゃ泥棒──……
『──なあ、ユキマサ、胸張って生きろよ』
……奴隷商の金に手をつけようとした、その瞬間、親父の顔が、昔聞いた言葉と一緒に頭に浮かんだ。
っ──……あー、もう分かったよ! 俺が悪かった! 元奴隷たちにも綺麗な金を渡してやるよ!
俺は星金貨を一枚取り出し、金庫に置く。
両替ぐらいは目ぇ瞑って貰うぜ。
と、俺は星金貨一枚と金貨1000枚を両替し、皆のもとへと戻る。
「貴方は本当に優しいですね。私なら迷わず金貨を持っていきました」
「何だよ、トランプ、見てたのか?」
「ええ、もしや本当は金銭目的で押し入ったのかと、一瞬でも考えてしまった自分が恥ずかしいです。両替をしたその金貨はどうするので?」
「1人金貨10枚ずつ渡す。無一文で逃がしても、野垂れるか、また人攫いにでも会うだけだろう」
「本当に呆れるほど優しい人ですね」
「早いに超したことはない、手伝ってくれるか?」
「喜んで」
紳士的なお辞儀と共にトランプが頷く。
金を配って回ると、元奴隷たちは呆気にとられたように揃えて口を開ける。
「えっと……どうした、お前ら。揃いも揃って鳩が豆鉄砲を食ったような顔しやがって……?」
不思議そうな顔に不思議そうな顔で俺は問いかけた。
「どうしたじゃないです……! 奴隷の俺たちを解放してくれて、あまつさえお金までくれる何て! 失礼を承知で言わせて貰うと正直どうかしてます! 何か裏があると思わずにはいられません……申し訳ありません……貴方に何の得があるんですか!?」
「損得勘定で俺は動いてない。奴隷は嫌いだ。だから奴隷だったお前らに奴隷を辞めさせた。それだけだ」
嘘は言ってない。奴隷や犠牲は昔から嫌いだ。
消えてなくなればいいと本当に心から思う。
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