第493話 奴隷オークション6
それにしてもまんまと時間を稼がれたな。
奴隷商人に王族4名が騒ぎに乗じて逃げた。
俺のミスだ。無能さが嫌になる。
桜を迎えに行き、俺は奴隷商の奥へ足を運ぶ。余談だが、今回王族共に買い上げられた奴隷は皆置いていかれていた。これはラッキーだったな。
首輪や手錠、足枷を斬り壊し俺は元奴隷たちに告げた。
「お前らは自由だ。もう奴隷じゃない。だが、まだこの国にはいろ。夜までには全てを終わらす」
*
奴隷商の奥はそれはもう酷い有り様だった。
拷問でボロボロの者、食事をロクに与えられず餓死寸前の者、幼い子供までいたよ。腹が立つな。
その昔、何かの書物で読んだ奴隷は最低限、小綺麗に時には着飾る物だと聞いたことがある。
奴隷も清潔で無ければ売れないのだ。綺麗な奴隷と汚い奴隷、同じ奴隷でもどちらが高く値が付くかは火を見るよりも明らかだ。
奴隷商の一番奥、そこには長い金髪の一人の女が居た。鎖で繋がれ、ただそこに座る女は俺と桜を見ると目を見開いた──
いや、違う、俺と桜じゃない。
──その後ろだ!
バッと振り返った先に居たのは、
「トランプ!? 驚いた。半日は起きて来るわけ無い筈だったんだがな」
「私も意識があるとは言い難い状態と自負しています。意識を奪われようが、立たねばならない、戦わなければならない。それが私なのです……」
今トランプが見ているのは敵である俺だけだ。
「……トランプ……さん……?」
金髪の女から発せられた声に今更ながらトランプがその存在に気づく。
「す、スリアさん?」
「知り合いか?」
俺はそう尋ねたか、互いに目を見開き涙すら流すトランプを見れば最早聞くまでも無い、この金髪の女性こそがトランプが人質に取られていた人物だ。
「今、手錠を……!」
朦朧とする意識の中、夢でも見てるのでは無いかと思いながら、スリアの手錠に魔力を纏ったステッキを振りかざした。
「クソ! 壊れない、やはり鍵がないと! ああ、でも手錠の鍵は社長が持っている。不味い、逃げ出そうとしたのがバレればスリアさんは殺される!? 私は何てことを、これでは今までの時間を水の泡に……」
「はぁ……おい、退きな。要は今ここで手錠が外れて逃げられるようになればいいんだろ? 俺がやる──」
〝アイテムストレージ〟から〝短剣〟を取り出し、俺は手錠を難なく破壊する。
「な、アダマンタイト鉱石の錠をこんな簡単に!?」
「アダマンタイト鉱石なんてあるのか、もしかしてオリハルコンやヒヒイロカネ何て代物もこの世界にはあったりするのか?」
「え……ありますけど……」
そう答えたのは俺の隣の桜だ。『へぇ、マジかよ』っと、驚く俺に三者は不思議そうな視線を向けた。
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