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第48話 魔王信仰2




「──な、何だ、今の爆音は! 落雷か!?」


 隊を統率しながら〝魔王信仰〟が現れたという、現場へ急ぎ向かう中、都市に轟く爆音に警戒したシスティアが足を止める。


「魔法ね。使ったのはユキマサみたいよ。それに〝千撃(せんげき)〟と〝桃色の鬼(ロサラルフ)〟にアリス王女も勢揃いだわ」


 都市に雷鳴が響くと同時に、ヴィエラは空高く飛翔し、その様子を確認すると、再び下に降りてきて、その見たまんまの状況を簡単に報告してくる。


「ユ、ユキマサくん、本当に何やってるの!?」

「ふふ。クレハちゃんはユキマサが心配?」


 呆れ顔のクレハにヴィエラが問いかける。


「し、心配と言いますか、何と言いいますか……」

「というか、あの馬鹿! クレハに心配かけてるんじゃないわよ!」


「え、エメレア、お、落ち着いて……!」


 ヴィエラの質問に、少し顔を赤くしながら答えるクレハを横目に、怒った様子のエメレアを、いつも通りあたふたとしながら、ミリアが(なだ)めている。


「お前達、遊びに来てるんじゃないんだぞ! もっと気を引き締めろ!」


「「「すいません……!」」」


 システィアのお叱りで、

 改めて、一同は気を引き締める。


「そうね、今の雷撃で報告にあった〝禁術者〟も倒されたみたいだし。どちらにしろ合流を急ぎましょう」



「「「「「………」」」」」


 ──ビリ、バチッ、バチッ


「まあ、これぐらい、丸ごと焼いちまえば()とやらも壊れるだろうし、再生も何も無いだろう?」


 俺は〝黒影元マント〟が跡形も無く消し飛んだのと、再び再生する様子が無いのを確認する。


「な、今のは何なのですか? というか、お前は本ッ当にバカなのですか!? こっちまで吹っ飛んでたらどうするつもりだったのですか!」

「いや、だから、少し威力は調整しただろうが? 現に、お前ら無傷だろ?」


 流石に大通りでは無くとも街中で、しかも近くにアリスや第3隊の〝鳥人族(ハルピュリア)〟がいる状態で、一切周りを気にせず〝雷撃〟を吹っ放っしたりはしない。


(まあ〝雷撃魔法〟自体を使うの初めてだったから、少し練習を兼ねて威力調整をしたって理由もあるが)


「「「「「……」」」」」

 何やら引き気味のアリスと第3隊の鳥人族達(ハルピュリアズ)と、

「あはは! 頼もしいじゃねぇかよ!」

 楽し気に笑うフィップ。


「──ッ!?」


 すると、次の瞬間──


 バッ! っと、先程の報告のあった、残りの〝魔王信仰〟の奴等が一斉にアリスに向かい飛びかかる。


(この状況で来るのか?)


 今回の主戦力であろう〝影黒元マント〟が倒されたから、撤退するかと思っていたが、何か策があってか無くてかは知らないが、突撃してくるようだ。


(てか、皆〝怪しげなマント〟にマスクを被ってるじゃねぇかよ? 制服なのか……?)


 俺は応戦する為〝魔力銃〟を取り出そうとするが──


 ドンッ!!


 その前に動いた〝アーデルハイト王国〟のトップ戦力である──〝千撃(せんげき)〟と〝桃色の鬼(ロサラルフ)〟により〝突撃マント集団〟は、瞬時に殲滅させられる。


「ここに来て、突撃とは逆に気味が悪いですな?」

「〝魔王信仰〟何て元々こんな感じだろ? 頭の中は魔王か、殺しぐらいしか無い奴等だ。〝自爆〟とさっきみたいに特定の奴が使える〝禁術〟にだけ気を付けろ」


 さっきの件を、自分のミスだと言って、負い目を感じている様子のフィップは、自身も厳しい目で辺りを見渡す。


(まあ、後は心配無いだろう)


 この一瞬で、顎、心臓、顳顬(こめかみ)、後頭部、脛椎(けいつい)といった、人体の()()を二人は的確に叩いている。


 〝魔王信仰〟の者は、立つことは愚か、意識を(たも)つの事さえも難しいだろう──それに今のコイツらには魔力の気配は一切ない。完全に意識も飛んでるな。


「──か、確保!!」

「「「「はッ!」」」」


「皆さん、私たちも手伝いますよ!」


「「「了解!」」」


 そして〝アーデルハイトの兵士〟と〝第3騎士隊〟が縄や魔法で〝魔王信仰〟の者を束縛していく。


「舌を噛みきられないようにもお願いします。この者達には少々聞きたい事がございますので……」


「「「了解しました!」」」


「……取りあえず。一段落か?」

「そのようでございますね」


「そうか。俺は〝第8騎士隊〟と鉢合わせたら、色々と面倒(めんど)そうだからな? フィップ、後は任せていいか?」

「あ? 待てよ、お前どこ行くんだよ?」


「ほとぼりが覚めるまでは街でもぶらつく予定だ」


「お、お待ちください! ユキマサ様、この一件で、ギルドから賞金も出るかと思いますので、よろしければ少しお待ちいただきたいのですが?」


 慌てた様子で〝第3騎士隊〟のフィオレが、地面にグーにした片手を付きながら頭を下げ、俺に話しかけてくる。


「何だ、賞金がでるのか?」

「はい。元より〝魔王信仰〟には、懸賞金がかけられてる者もおりますので──しかも〝禁術者〟ともなれば、ある程度の賞金は確実かと思われます」


「……まあ、手柄はお前達にやるよ? じゃあな!」


 少し考えたが、俺はそう言い残し、恐らくはブチキレているであろう……エメレアが来る前に──この場から、そそくさと立ち去ろうとするのだが……



 がしッ……



 俺の服の袖をアリスに捕まれる。


「私も行くのです」


(ま、まあ、俺は構わないが……)


 俺は〝妖怪世話焼き爺〟こと──千撃(せんげき)をチラリと見て、目線(アイコンタクト)で『どうする?』と聞く。


「ふむ……」

「私も行くのです」


 大事な事なのか……クイ、クイッと俺の袖を引っ張りながら、先程と同じ台詞をアリスは二回繰り返す。


「──なら、あたしも行くぜ? それなら文句無いだろ? なあ、老いぼれ小僧?」


「……そうですな。フィップ先輩が一緒なら何も言えますまい。この件の後処理は私がやっておきましょう」

「む? たまには良いことを言うではないですか?」


「ユキマサ殿とフィップ先輩が同意見なら、私が例え()()()で止めようとしても、勝ち目は無さそうですからの。ユキマサ殿、お嬢様を何卒よろしくお願い致します」


 妖怪世話焼き爺は深々とお辞儀をしてくる。


「……任された。街を少し回ったらギルドに戻るよ」

「畏まりました。申し遅れましたが、私は〝アーデルハイト家〟の〝執事長〟を勤めております──ジャン・ウィリアムと申します。以後、お見知り置きを」


 ―ステータス―

 【名前】 ジャン・ウィリアム

 【種族】 人間(ヒューマン)

 【性別】 男

 【年齢】 78

 【レベル】90


 と、異世界恒例のステータス画面を見せてくる。


「随分とレベルが高いな? 執事長?」


 そして俺もいつも通りのステータス画面を見せる。


 ―ステータス―

 【名前】 ユキマサ

 【種族】 人間(ヒューマン)

 【性別】 男

 【年齢】 16


「私の場合は、無駄に歳とレベルが上がってしまっただけに過ぎません。それと私の事は、気軽にジャンと呼んでくださいませ。勿論、呼びづらければ〝妖怪世話焼き爺〟でも構いませんぞ?」


 ほほほ。と、ジャンは冗談めかしに陽気に笑う。


「分かった。じゃあ、本当に気軽に呼ばせてもらうぞ? ──ジャン? アリスからは、朝から晩まで、それはそれは世話を焼くと聞いているよ?」


「それは、それは〝執事冥利〟に尽きますな!」


(執事冥利か……これも初めて聞く言葉だな? それはそうと、異世界には〝妖怪〟だとか〝幽霊〟だとかはいるのか? まあ、もう何が現れても、あまり驚きはしない自信はあるけどさ?)


 ──、……幽霊……か……。


『──お化けでも、幽霊でも、何でも良いから……私は……もう一度……もう一度だけ──おとーさんとおかーさんに会いたい!』


 そんな事を昔……理沙が泣きながら言っていた事があったな──


「ユキマサ、どうしたのです?」


 ぎゅッと、相変わらず〝リッチ(熊のぬいぐるみ)〟を抱き締めてるアリスが、じッと俺を下から見上げる形で聞いてくる。


「いや、何でもない……」


 だが、俺のその返答が、あまりお気に召さなかったらしい様子のアリスちゃん王女は……

「全く、人が心配してるのに、何なのですか!」

 と、少しご立腹みたいだ。


 それにしても……異世界に来てからというもの、やけに俺は理沙や昔の事を思い出す──何でだろうな? 


 ──新手のホームシックってやつだろうか……


 異世界ホームシック……いやいや……まさかな?




 ★★★★★★作者からのお願い★★★★★★


 作品を読んで下さり本当にありがとうございます!


・面白い

・続きが気になる

・異世界が好きだ


 などと少しでも思って下さった方は、画面下の☆☆☆☆☆から評価やブックマークを下さると凄く嬉しいです!

 (また、既に評価、ブックマーク、感想をいただいてる皆様、本当にありがとうございます! 大変、励みになっております!)


 ★5つだと泣いて喜びますが、勿論感じた評価で大丈夫です!


 長々と失礼しました!

 何卒よろしくお願いします!

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