第485話 拐われた少女
金貨とサインを書いた書状を渡したら、ぽかーんとした顔をされた。
意味が分からないと言った感じだ。
「どうした?」
「ど、どうした……じゃないです……どうして奴隷の俺に……ここまでしてくれるんですか……?」
ギンが布袋とサインのを大切そうにしっかり両手に包み込みながら尋ねてくる。
「ここで見て見ぬふりをしたら俺はこの世界に来た意味が無くなる。だからまあこれは半分は俺の為だ」
「ああ……神様……ありがとうございます……ありがとうございます……」
三人はそれこそ神にでも拝謁するかのように頭を下げる。
「俺を呼んだのはアルテナだからな。神のお導きと言われりゃ、間違ってないのかもな」
じゃあなと、俺が立ち去ろうとした時だ。
「あ、あの! 私たちはさっき奴隷商から売られたばかりで、この後のことを考えると絶望しかありませんでした。本当にありがとぅございます……!」
「ありがとうございます……!」
パールとアンナが改めて礼を言ってくる。
「いいよ。どういたしまして。それに奴隷商か、いいこと、いや悪いことを聞いたか。さて、俺はその奴隷商とやらに向かうとしよう。またまだ闇は深そうだ」
今度こそ「じゃあな」と俺はその場をあとにする。
*
クレハと黒芒と合流する前に俺は奴隷商へ足を運んだ。あいつらを連れていくワケにいかないしな。
奴隷商にたどり着くには少なからず裏ルート、もしくは誰かしらのコネクションを辿ることになると思ってたが、驚いた……この街では公に奴隷オークションが開催されてるらしい。
まあ、流石に裏路地を深く入った暗く治安の悪い場所にあった。
先ずは潜入だ。情報を集める。
さて、入れるかどうか。
サーカステントみたいな大きめの場所に会場はあった。
と、その時だ。
ドン! と、フード付きマントを被る俺に一人の少女がぶつかってくる。
身なりはそれなりだ。異世界の村娘といった服装ごとても似合っていて、ふんわりとした何処か柔らかな桜を思わせる雰囲気の長い黒髪の綺麗な翠の瞳の少女の年は15歳ぐらいだ。
「助けてください!」
しがみついて来た少女は俺に助けを求めた。
その後ろからは──
「おい、居たぞ! 10年に1度の上物だ。高く売る為に何もせず連れてきたんだ! 逃がしてたまるかよ!」
ぞろぞろと盗賊のような奴等が現れる。
人攫い、一目でその単語が浮かんだ?
「そこの黒いの、その娘をこっちに渡しな」
「……」
「おい、聞いてんのか!」
男が手を伸ばして来ると俺は短剣を持った右手を上に振るう。
「ぎゃあァァ!」
人攫いの男の右手首が宙を舞う。
「やりやがった! お前らかかれぇ!」
人攫いの男たちが武器を手に取る。
人数は18人。情報を集めるまでは騒ぎは起こしたくなかったが、仕方ねぇ、やるか──
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