第483話 見せ物
ピエロの人気は思いの外、高かった。
道行く人の人だかりができていたほどだ。
パチパチと徐々に拍手が起き、やがては喝采となっていく。
「退屈じゃったの」
「黒芒、お前には合わなかったみたいだな」
「じゃが主様と腕を組んでる時間は愉悦であったぞ」
るん♪ と、音色が聞こえてきそうなぐらいの笑顔になる黒芒、美少女にも美女にも見えるが、こいついくつなんだろうな。
まあ、ステータス画面覗けば分かるんだけど、女性に年齢を聞くのは然り、年齢を盗み見るのも言語道断だろう。
斑のは盗み見たが男なのでノーカンで。
クレハの帰りを待つが時間がかかっているのか、1時間経っても戻ってくる気配は無い。
代わりに見たくないものを見た。
見るからに貴族らしき男、その男が乗っているのは──ボロボロの布切れに身を包んだ四つん這いになってる血だらけの男性。そして同じくボロボロの服を着た首輪と手錠の付いた若い女が二人、その後を追う。
ボディーガード役なのかは知らんが、鎧を身に纏った兵士が更にその背後から10人程付いていってる。
「おらぁ、早く行かんかッ! このクソめ!」
一瞬だけ罪人かとも思ったが、恐らく……いや、絶対に違う。あれは──奴隷だ。
貴族が奴隷の男を鞭で叩く。
(あの、野郎ッ!!)
「のう、主様、あれも見世物で金を取ってるのかの?」
「いいや、違う。あれはそんな可愛いもんじゃない」
あれがこの国の王族か?
絵に書いたようなゴミだな。
いや、ゴミの方がまだ綺麗か。
「主様、どこへ行くのじゃ?」
「ちょっと待ってろ黒芒、あの糞、片付けてくる」
「妾が行ってもよいのじゃぞ?」
一瞬、ナイフのように鋭い視線が向けられた。
「お前はクレハと合流しろ。思ったよりもこの街は治安が悪そうだからクレハをギルドまで探してやってくれ、俺はギルドだとかそう言う場所にはあまり顔出せないしな」
「承った、主様、ではまた後程」
そう言うと黒芒が影に消えた。影移動か。
便利そうだよなそのスキルも。
──俺は人混みに紛れ、王族と奴隷に近づく。
道端に落ちてた石をいくつか拾う。
そして先ずは後方の兵士を狙い、第三宇宙速度の投石を行う。
ドカドカドカドカーン!! と音を立て兵士を中心にクレーターができる。兵士は全滅だ。
「なななな、何だ!? 何事だ!!」
わたわたと焦る王族。
「このドベめ!!」
戦力を失った王族は最後に奴隷の男性を蹴り飛ばし、奴隷全員をその場に残し、転げ落ちるように慌てながら去っていった。
「許さんぞ、どこの誰だか知らんが、この私をコケにしたことを!」
と、負け台詞を吐きながら。
逃げ足だけは速いな、ホント。
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