第481話 誰の仕業か
「の、ノアさん、く、苦しいです……」
「あ、ごめんね。つい、嬉しくて……」
そうだ、ユキマサならば、ユキマサならば心臓の再生も可能かもしれない。
確実じゃないが可能性は十分にある。
「ヴィクトリアさん、待っててね」
こうしてヴィクトリアとガーロックの身体は〝教会〟にて保管されることになった──
*
──〝大都市エルクステン〟
ギルド・救護室。
先に運び込まれた、ヴィエラ、ラジ、ボタン、ルドルフ、システィア。そしてエミルが並べられていた。
そこに新たに入って来る二つの影。
「ゼンスさん、リーゼスさんが重体です。治療をお願いできますか?」
リーゼスを背負い救護室に現れたのはティクタスだ。
ゼンスと呼ばれた初老の医師は慌ててティクタスとリーゼスに駆け寄る。
「兄さん! これは酷い、直ぐに手当てを!」
ゼンスはリーゼスの実の弟だ。リーゼスをゼンスに任せるとティクタスは少しばかり力を抜く。
「──皆さん、ご無事ですか!」
フォルタニアが飛び込んでくる。
しー、と、ゼンスがジェスチャーをすると、顔を赤くし「申し訳ありません」とフォルタニアが謝る。
「フォルタニアさん、ギルドは閑散としてますが、住民の皆さんは無事に逃げられたのでしょうか?」
「はい。皆さんが時間を稼いでくれたお陰で住民の皆さんは無事に西側へと避難できています」
無事とは言えなくても騎士隊長全員が生き延びることができたことに深く安堵する。
「にしても、魔王となった愧火はどうなったのです? 撃退との報告がありましたが……」
「そ、それは大聖女様が……」
斑のことは内密にするように聞かされているのでどうも歯切れの悪い返事をしざるを得ない。
「嘘ですね。なぜ嘘を?」
すかさず自身のスキルで嘘を見抜くフォルタニアは嘘を吐くティクタスを問い詰めると言うよりは、もう少し優しく問いかけると言った方が正確だ。
「すみません、私の口からは言えません。口止めをされていますので、私は魔王を撃退してくれた方を裏切れません」
「そうですか、分かりました」
短く返事を返したフォルタニアは空気の読める女性だ。それ以上は一切、問うことは無かった。
*
──その人類の朗報は瞬く間に広がった。
「魔王が倒された!?」「いや、撃退しただけらしいぞ」「それでもすごい! 流石は大聖女様だ!」
祭りや某コミック祭典よりも今は人口密度が高い──〝大都市エルクステン〟の西側門付近は大騒ぎだった。
「しなのん、これでお店に帰れますよ。やったー!」
「それは大変喜ばしいですが、大聖女様は何者なんですか、この短時間で魔王を撃退って尋常じゃないですよ。ユキマサさんの知り合いは化物ばかりですか?」
今回の一件はノアが愧火を撃退したと言う話がどこからともなく瞬く間に世界に流れた。
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