第479話 撃退、そして終戦
真っ先に動いたのはシトリだった。
「あ、うん? ──〝空間移動〟? いや〝影移動〟の極致か。ええ部下持ってるなぁ」
意識の無い愧火を回収し、続いてシリュウも連れていこうと、シトリが影移動で俊敏に動く。
「させないわよ〝シルフディート〟では、まんまと逃げられたけど、今回は逃がさない」
シリュウを回収しようとするシトリだが、エルルカに立ちはだかられ、無言で距離を取る。
「あちゃ、愧火に逃げられる。影移動、厄介だなぁ」
といいながら、影移動の速度に付いてくノアは流石としか言いようがない。
「!?」
「今逃がしたら、死んでいった仲間に顔向けできないからね」
ノアの頭にヴィクトリアの顔が浮かぶ。
がしっとシトリの左腕をノアが掴む。シトリの右腕には意識の無い愧火が抱えられている。
──ぶしゅっ。
シトリの腕が宙を舞う。
ノアに掴まれてた自らの腕を切り落としたのだ。
詳しく言えば、影移動の際に自らの左腕を影移動の有効範囲から外しその場に残す。空間と空間に置き去りにされた腕はトカゲの尻尾斬りのように切れた。
一瞬の不意をつかれた。
己の失態だ。と、ノアは頭を抱える。
「僕は追わへんで、後は君らの仕事や」
「私ではもう追えないかな。影移動で今頃何十キロ先まで逃げてる筈だし。ダメだな、顔向けできないや」
そしてノアは失礼と思いながらも、自身のスキル〝神眼〟で斑のステータス画面を見る。
―ステータス―
【名前】 斑
【種族】 人間
【性別】 男
【年齢】 1028
「人間で1028歳……斑さん、あなた一体どういった身体してるのかな? いや、まずは頭を下げてお礼を言うべき何だろうね。助けていただき本当にありがとうございました──」
ペコリとノアは手本のようなお辞儀をする。
「構へんで、僕の独断や。そやな強いて言うなら請求はユキマサ君に出しとくで。あと、僕の事は内密に頼むわ。あまり表には出れない立場なんや」
ユキマサに請求を出されてはノア的にも困るのだが、本人がそう言うならば今は何も言えない。後日、改めてユキマサに詫びようとノアは心で誓う。
「分かった。あなたの事は内密にしとくね。斑さん、あなたは人類の味方ってことでいいんだよね?」
「いや、今回は結果を見ればそう見えるかもしれへんが、今の僕は人類の味方や無い。敵でもあらへんが、そやな中立、傍観者、観測者、そこら辺やと思っといてくれたら助かるわ。まあ、ユキマサ君にはけったいな異世界の話を期待しているとでも伝えといてや」
「そう、答えは私的には残念な部類かな。でも、本当にありがとう。伝言も預かったよ、斑さん。また会うことがあれば、その時は改めてお礼をさせてね──」
ノアがそう告げると「ほな」と軽く手を振り、斑は去っていった。
その背中をノアは私もまだまだだなと思い見送る。
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